FC2ブログ

SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

2018.10 « 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 » 2018.12

--.--.-- -- » スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2013.06.28 Fri » 『フェッセンデンの宇宙』(幻のアンソロジー・シリーズその6)

【前書き】
 昨日、ロバート・ムーア・ウィリアムズの「赤い死」という作品をとりあげた。これを収録したアンソロジーの目次を考えたことがあるので公開する。


 仕事用のメモを整理していたら、5年前に考えたアンソロジーの目次が出てきた。山岸真氏と共編した『20世紀SF』(河出文庫)が出ていたころで、その関連で考えたもの。実現の見込みはなかったので、最初から趣味で作った目次である。
 ひと目見て苦笑せざるを得なかったので、ここに恥をさらすことにする。
 題して、『フェッセンデンの宇宙――1930年代SF傑作選』

1 フェッセンデンの宇宙  エドモンド・ハミルトン  '37(40枚)新訳
2 シャンブロウ  C・L・ムーア  '33(80枚)新訳
3 ブルー・ジラフ  L・スプレイグ・ディ・キャンプ  '39(70枚)新訳
4 時の脇道  マレイ・ラインスター  '34(150枚)新訳
5 火星ノンストップ  ジャック・ウィリアムスン  '39(95枚)新訳
6 最終進化 ジョン・W・キャンベル・ジュニア  '32(50枚)新訳
7 Parasite Planet  スタンリー・G・ワインボウム  '35(65枚)初訳
8 赤い死  ロバート・ムーア・ウィリアムズ  '40(60枚)新訳
9 人間オメガ  ロウェル・H・モロウ  '33(100枚)新訳

 『20世紀SF』は、1冊700枚と規格が決まっていたので、それに合わせてある。
 キャンベル・ジュニアの作品は「影が行く」を採りたいところだが、長すぎるし、すでにこれを表題とするアンソロジーを編んでいたので見送った。
 ワインボウムの作品は、「火星のオデッセイ」が順当だろうが、本邦初訳を1篇くらいは入れたくてこちらを採った。知名度がちがうだけで、出来はあまり変わらない。
 ハミルトンの作品は、それまで流布していた1950年発表の改稿ヴァージョンではなく、初出ヴァージョンを新訳するつもりだった。アイデアの先駆性を評価する声が高いので、それなら原型を見せることに意義があると思ったからだ。この企ては、のちにハミルトン傑作集『フェッセンデンの宇宙』を編んだときに実現した。

 ご覧のとおり、山本弘編のクラシックSF傑作選『火星ノンストップ』(早川書房)と3篇(2、4、5)が重なっている。しかも、2と4に関しては新訳を起こすというアイデアまで同じ。人間、考えることは同じだなあ。
 
 それでも、ディ・キャンプとモロウの作品は捨てがたいものがある。どこかで復活できないものか。(2006年9月24日)



スポンサーサイト

2013.05.05 Sun » 『海の鎖』(幻のアンソロジー・シリーズその5)

 ガードナー・ドゾワの傑作「海の鎖」を復活させたくて、それを柱にしたアンソロジーの目次を作ったことがある。テーマは「ファースト・コンタクト」で、題名は『海の鎖』。実現の可能性がゼロになったので(追記参照)、その目次案を公開することにした。

 収録作はつぎのとおり。題名、作者名、発表年、推定枚数の順に記す――

検視  マイクル・シェイ '80 (100)
珊瑚礁にて  アルジス・バドリス '58 (55)
現実からのトリップ  ロバート・シルヴァーバーグ '70 (60)
Down the River  マック・レナルズ '50 (25)
ザ・ジョー・ショウ  テリー・ビッスン '94 (60)
In Translation  リサ・タトル '89 (65)
A Life of Matter and Death  ブライアン・オールディス '90 (65)
海の鎖  ガードナー・ドゾワ '73 (160)

 全590枚。文庫なら370ページくらいか。

 ワースト・コンタクトになってしまう作品ばかり並ぶのは、当方の趣味がゆがんでいるせいだろう。陰気な話ばかりだとなんなので、ビッスンの艶笑譚を入れてある。シルヴァーバーグのドライ・ユーモア作品も同じ路線。
 オールディスの作品は、作者の名前で選んだ。巨大昆虫のような異星人に地球が制圧される話だが、この設定から想像されるような展開にならないのは、いうまでもない。

 前に触れたことがあるが、冒頭の2篇は埋もれさせておくには惜しい。なんとか復活させたいものである。(2008年11月5日)

【追記】
 伊藤典夫編の同題アンソロジーが刊行予定にあがったため。国書刊行会からいつか出るはずなので、気長に待とう。

 上記ビッスンの作品は、ビッスン短篇集『平ら山を越えて』(河出書房新社、2010)に収録した。

2013.05.04 Sat » 『変種第二号』(幻のアンソロジー・シリーズその4)

【前書き】
 以下は2008年10月21日に書いた記事である。誤解なきように。


 2年前に上梓した『地球の静止する日――SF映画原作傑作選』(創元SF文庫)の増刷が決まった。表題作がキアヌ・リーヴス主演でリメイクされ、近日公開となったおかげだが、なんにせよめでたい。協力してもらったみなさんにも、すこしは顔向けできるというものだ。
 ところで、リメイク作の邦題は「地球が静止する日」だそうだ。
 ちなみに「地球の制止する日」という誤記をよく見かけるが、この誤記を見るたびに、地球が暴走してみなが困る顔が頭に浮かんできてしまう(地球は制止する側なので、論理的には矛盾しているのだが)。

 上記アンソロジーが好評で、続編の話が出ればと思って作ったメモがあるので公開しよう。もちろん、そんなことにはならなかったが。

 無版権でやろうと思ったので、古い作品が並ぶ。題名、作者名、発表年、推定枚数、映画化名で記載してあり、配列は発表年代順である。 

花と怪獣  ヘンリー・カットナー  1940 (40) 金星怪獣イーマの襲撃
ヴィンテージ・シーズン  C・L・ムーア  1946 (130) グランド・ツアー
There Shall Be No Darkness  ジェイムズ・ブリッシュ  1950 (105) スリラー・ゲーム/人狼伝説
変種第二号  フィリップ・K・ディック  1953 (125) スクリーマーズ
ヤコブのあつもの  ゼナ・ヘンダースン  1955 (110) 不思議な村
デス・レース2000年  イブ・メルキオール  1956 (30) デス・レース2000年/デスレース(2008)
朝の八時  レイ・ネルスン  1963 (15) ゼイリブ

 当初はロバート・シェクリイの「七番目の犠牲」やジョルジュ・ランジュランの「蠅」を入れようと思ったのだが、版権取得が必要だとわかってあきらめた。

 なお、最初のカットナーの作品は、今回あたらしく追加した。前に書いたとおり、ハリーハウゼン映画の原案だとあとで気づいたからだ。前巻の「ロト」と同じパターンで、原作としてクレジットされてない作品をあえて収録し、問題提起を行なおうという趣向。

 あとは原作も映画もマイナーな作品ばかり。「グランド・ツアー」と「スリラー・ゲーム/人狼伝説」という映画は、当方も見たことがない。
 ブリッシュの作品は、未来を舞台にした狼男もので、芸術家肌で頭脳明晰な狼男の活躍が描かれるのだが、さすがに60年近くも前の作品だけあって、骨董的価値しかない。
 
 というわけで、本としては弱いので、やっぱり新しい作品を入れるしかないのだろうなあ。だれか名案はありますか。(2008年10月21日)

2013.05.03 Fri » 『エントロピー展覧会』(幻のアンソロジー・シリーズその3)

 ニュー・ウェーヴSFのショーケース的なアンソロジーを編んだらどうなるか考えてみた。題名は、コリン・グリーンランドのニュー・ウェーヴ研究書の表題をパクって『エントロピー展覧会』としようか。

「残虐行為展覧会」J・G・バラード '66(20)
「花とロボット」B・W・オールディス '65(15)
The Nature of Catastrophe マイクル・ムアコック '70(20)
「リスの檻」T・M・ディッシュ '66(40)
「宇宙の熱死」パミラ・ゾリーン '67(35)
「旅人の憩い」D・I・マッスン '65(40)
「レンズの眼」ラングドン・ジョーンズ '68(110)
「フレンチー・シュタイナーの堕落」ヒラリー・ベイリー '64(90)
「ビッグ・フラッシュ」ノーマン・スピンラッド '69(70)
「ガラスの小鬼が砕けるように」ハーラン・エリスン '68(25)
「アイオワ州ミルグローヴの詩人たち」ジョン・スラデック '66(20)
「時は準宝石の螺旋のように」S・R・ディレイニー '68(105)
「ニュー・ウェーヴ」クリストファー・プリースト '78(55) *評論

 例によって末尾の括弧内は推定枚数。全645枚。文庫で400ページちょっとか。

 主要な名前はひととおり網羅した。ビッグ・ネームは前衛的な小品でお茶を濁して、ジョーンズ、ベイリー、スピンラッドといったところの力作中篇にページを割き、プリーストの概説で締めるのがミソ。もともとヒラリー・ベイリーの作品を復活させるために考えはじめた企画なのだ。とはいえ、これで一応はニュー・ウェーヴ運動の見取り図は描けるはずだ。
 できればケイト・ウィルヘルムの「サマーセット・ドリーム」を入れたいところだが、115枚もあるので諦めた。なんで諦めなくてはならないのか、自分でも不思議だが、400ページというルールを作った以上しかたないのであった。(2006年6月13日)

2013.05.02 Thu » 『風の王国』(幻のアンソロジー・シリーズその2)

【前書き】
 以下は2006年4月6日に書いた記事である。誤解なきように。


 この時期は気温が高くて風の強い日があると、翌日は花粉症地獄である。花粉の飛散量や、その日の天気とはあまり関係ない。
 そういうわけで、昨日は花粉症が今年二番めのひどさで、なにもできなかった。しかたがないので、前から考えている「風にまつわる幻想小説」アンソロジーをメモにしてみた。題名は『風の王国』としようか。
 以下は目次ではなく、目次作りの前の作業リストである。

第一部〈生きている風〉
「世界を渡る風」フランク・オーエン '25(40枚)
「風の子供」エドモンド・ハミルトン '36(60枚)
「風」レイ・ブラッドベリ '43(30枚)
「わが美しき町」ロバート・A・ハインライン '49(55枚)
Werewind J・マイクル・リーヴズ '81(70枚)

第二部〈狂風世界〉
「発明の母」トム・ゴドウィン '53(150枚)
「風起こる」ロバート・シェクリイ '57(45枚)
「暴風監視官(あらしばん)」マルクス・ハーシュミット (30枚)

第三部〈風に乗る〉*ハングライダーもの
「あらし」G・R・R・マーティン&L・タトル '75(175枚)
「八月の上昇気流」エドワード・ブライアント '81(130枚)

第四部〈風を受ける〉*陸上帆船もの
「オフ・シーズン」レイ・ブラッドベリ '48(35枚)
「希望の海、復讐の帆」J・G・バラード '67(45枚)
「風馬車スミスと火星人」ローレンス・ワット・エヴァンズ '89(30枚)

 ここから取捨選択して1冊にするわけだが、問題点は多い。たとえば、

1 第一部の作品は厳選する要がある。オーエンとブラッドベリはネタがかぶっているので、どちらか片方を落とさねばならないが、相当に迷いそうだ。
2 第二部にバラードの長篇『狂風世界』('62)の抜粋(〈ニュー・ワールズ〉分載の縮約版あり)を載せる手もあるが、第四部と作者がかぶる可能性が出てくる。
3 ハングライダーものや陸上帆船ものは、どちらか片方でいいのではないか。

 などである。目次作りはまだまだ難航しそうだ。アイデアがある方はご一報下さい。(2006年4月6日)

【追記】
 この後、第三部の候補作として―― 

「カイト・マスター」キース・ロバーツ '82(40枚)
「アラクネの血の試練」マイクル・ビショップ '75(70枚)

 を挙げてもらった。アンソロジー作りは、こうやって候補作を集めて、あーだこーだ考えているときがいちばん楽しいのだ。

2013.04.08 Mon » バドリスのこと

 アルジス・バドリスの作品は、アメリカSFのなかではかなり異質な肌合いがある。簡単にいってしまえば、ヒューマニズムを信じていない節があり、登場人物が冷めているのだ。キャリアが長く、玄人筋の評価が高いわりに、ちっとも人気が出ないのは、たぶんそれが理由だろう。

 わが国では『第3次大戦後のアメリカ大陸』(久保書店)と『アメリカ鉄仮面』(ソノラマ文庫)の2冊の長篇が出たが、広く読まれたとは思えない。むしろ〈F&SF〉掲載の短縮版が初期のSFマガジンに連載された「無頼の月」のほうが、幻の作品として関心をそそっているのではないか。いずれにしろ、知名度は低いと思われる。

 だが、短篇にはいいものがあって、このまま埋もれさせておくのは惜しい気もする。明らかに書きとばした作品も多くて、傑作にあたる確率は低いのだが、ときどき珠玉の短篇があるのだ。
 というわけで、傑作集の目次を考えてみた。題名、発表年、推定枚数の順で記す。

1 珊瑚礁にて '58 (55)
2 沈黙の兄弟 '56 (55)
3 すべては愛のために '62 (55)
4 隠れ家 '55 (40)
5 めぐりあい…… '57 (50)
6 夏の終わり '54 (70)
7 猛犬の支配者 '66 (75)
8 Be Merry '66 (130)

 1はファースト・コンタクトものの傑作。2は侵略もののホラーSF。3も侵略もので、異星人に支配された地球を舞台にレジスタンス活動が描かれるのだが、全然ヒロイックにならないところがバドリスらしい。4と5は《ガス》シリーズを構成する2篇で、特異な超能力もの。6は不死者の社会を描き、代表作のひとつとされている。7はSFではなくて、ヒッチコック好みのサスペンス。8は地球人に飼い殺しされている異星人たちの話。というのも、その血液から病気の特効薬が採れるからである。

 うーん。やはり陰々滅々としすぎているか。

蛇足。
 そのむかし鏡明氏が『アメリカ鉄仮面』を『二十世紀鉄仮面』と誤記して一部で話題になったが、これは小栗虫太郎経由による記憶の混濁が原因だろう。虫太郎には、そういう題名の作品が両方とも存在するのだ。(2008年6月5日)

2012.12.08 Sat » 秘境SF傑作選(幻のアンソロジー・シリーズその1)

 前から何度も書いているように、当方には架空アンソロジーの目次を作るという趣味がある。当然ながら大好きな秘境もののアンソロジーもたびたび試案を練っていて、以下はその最新ヴァージョンだ―― 

1 死の蔭{チャプロ・マチュロ}探検記  橘外男 '38 (100)
2 有尾人  小栗虫太郎 '39 (105)
3 地底獣国  久生十蘭 '39 (130)
4 エル・ドラドオ  香山滋 '48 (30)
5 マタンゴ  福島正実 '63 (65)
6 ドラゴン・トレイル  田中光二 '75 (70)
7 アマゾンの怪物  山田正紀 '81 (190)

 総計690枚。文庫で420ページ見当か。

 ひとつ補足しておくと、「秘境もの」といっても単純に秘境を舞台にした作品ではなく、いわゆる「ロスト・ワールド」ものを集めている。つまり「この地球上のどこかに周囲とは隔絶した土地があって、そこには恐竜をはじめとする古代生物や、失われた古代文明が現存している」という設定で書かれた作品である。
 その魅力や意味については、以前〈幻想文学〉誌に一文を草したことがある。同誌が「幻想文学研究のキイワード」という特集を組んだときで、関心のあるテーマをひとつ選び、10枚ほどのエッセイを書いてくれという依頼だった。そのとき「ロスト・ワールド」を選んだのだから、関心の強さが判っていただけると思う(追記参照)。
 
 あまり顧みられなくなった分野なので、啓蒙的な本を作ろうと思って有名作ばかりを集めた。5が異色だが、これは完全に客寄せパンダである。
 6は連作《エーリアン・メモ》の第一作。この作品をリアル・タイムで読んだときは、本当にしびれたものだ。田中光二の初期SFは傑作ぞろいなのだが、復活はむずかしいだろうなあ。(2011年6月8日)


【追記】
 〈幻想文学〉66号(アトリエOCTA、2003)掲載の「ロスト・ワールド」という一文である。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。