fc2ブログ

SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

2012.03 « 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 » 2012.05

2012.04.18 Wed » 『保護色その他の短篇』

 まずはお詫びから。
 昨日、「奇跡なす者たち」に材をとったジャック・ゴーハンの絵を紹介するという意味のことを書いたが、そんな絵はなかった。この作品を収録した Fantasms and Magics (1978) という短篇集と、今回とりあげようと思った短篇集の収録作に重複があったため、両者を混同していて、後者の表紙絵を「奇跡なす者たち」を描いたものだと勘違いしていたのだ。
 記憶だけに頼り、確認を怠ったために生じた失敗である。深く反省するしだい。お詫びに「月の蛾」のイラストもスキャンしたので、お許しあれ。

2011-9-23 (Moon Moth)

 さて、紹介しようと思った短篇集は The World Between and Other Stories (Ace, 1965) だ。エース・ダブルの一冊で、カップリングはおなじヴァンスの連作集 Monsters in Orbit (Ace, 1965)。

2011-9-23 (The World Between)
 
 まずは目次をかかげる。例によって発表年と推定枚数も書いておく――

保護色  '53 (90)
月の蛾   '61 (100)
新しい元首  '51 (70)
悪魔のいる惑星  '55 (65)
無因果世界  '57 (25)

 問題の表紙絵は、表題作「保護色」に材をとったもの。これはエコロジーSFのはしりのような作品で、生物進化を加速させて兵器を作りだし、それで戦争をする話。じつは「奇跡なす者たち」にもまったく同じ要素があり、それが混同の原因になったと思われる。甲冑をまとい、剣をふるっている人物が描かれているのも混同の原因か(じつは中世風の甲冑ではなく、特殊な宇宙服なのだが)。

 カップリングのほうにも触れておくと、ノヴェラ2篇を合わせた連作集で、ヴァンスには珍しい女主人公が活躍するSFミステリになっている。
 第一作「アバークロンビー・ステーション」(1952)は、若く野心に燃えるヒロインが軌道上に浮かぶ上流階級の居住ステーションに潜りこみ、その暗部を白日のもとにさらすというストーリー。〈SFマガジン〉1993年3月号に訳出したことがある。
 第二作 Chowell' s Chickens (1952)は、ヒロインが出生の秘密を探る話だが、出来のほうは一枚落ちる。
 表紙絵(図版下)は「アバークロンビー・ステーション」の一場面を描いているが、だいぶ誇張がある。画家はジェローム・ポドウィルという人らしい。(2011年9月23日)

2011-9-23 (Monsters in Orbit)

【追記】
 上記のうち「保護色」、「月の蛾」、「無因果世界」は先述の『奇跡なす者たち』(国書刊行会、2011)に収録されている。


スポンサーサイト