fc2ブログ

SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

2012.06 « 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 » 2012.08

2012.07.16 Mon » 濁った水

【承前】
 アーサー・C・クラークの「海底牧場」短篇版を訳していたとき〝turgid waters〟という言葉にぶつかったことを前に書いた。当方はこれを〝turbid waters〟の誤植と判断したのだが、〝turgid waters〟である可能性も捨てきれないことを教えていただいた。けっきょく結論は出ず、とりあえず誤植あつかいで「濁った海」と訳しておいたのだが、どうやらそれで正解だったようだ。

 というのも、クラークの海洋ノンフィクション The Coast of Coral (1956) を読んでいたら、つぎのような文章が出てきたからだ――

 water was so turbid that it looked like blue milk.

 ほぼ同じ文脈で〝turbid〟が使われている。「海底牧場」のほうもクラークは〝turbid〟と書いたのだろう。やっぱり「ふくらんだ海」というのはイメージできないからねえ。
 とすると、同じ誤植が50年以上も引き継がれているわけか。世の中、こういう例は多いのだろうなあ。

 ところで、クラークのこの本はものすごく面白かった。先ほど読みおえたので、あらためて紹介したい。(2009年9月9日)

スポンサーサイト