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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.08.02 Thu » 「翡翠男の眼」のこと

 生まれてはじめてやった翻訳は、マイクル・ムアコックのエルリック・シリーズの1篇「翡翠男の眼」だった。記憶は定かではないが、たぶん大学1年のときだ。400字詰めの原稿用紙にして120枚。いまにして思えば無謀としかいいようがない。まさに虚仮の一念だ。

2006-9-15 (Jade 1)

 これを載せてもらったのが、エルリック・ファン・クラブ(以下EFCと略)発行のファンジン〈ドリーミング・シティ〉創刊号である。奥付には1981年1月1日とある。

2006-9-15(Jade)

 EFCというのは、〈剣と魔法〉系のサークル、ローラリアスの有志が作った会内派閥のようなもの。エルリック・シリーズの邦訳は、〈SFマガジン〉に載った中篇が2篇あるだけだったが(追記参照)、すでにその魅力にとり憑かれた者が多かったわけだ。

 目次を書き写すと――

エルリック・シリーズ マイクル・ムアコック
 闇の三王……訳:終鳥
 翡翠男の眼……訳:中村融
エッセイonエルリック
 Elric…? ……渡辺かおる
 わたしはエターナルチャンピオン……絵留陸
 エルリックシリーズ読後感想文……吉岡L
 ムーングラムと〈闘士の伴〉たち……市橋豊
読みもの
 エルリック・シリーズ一覧表……今村哲也
 エルリックF.C. アンケート集計
 エルリックおちこみ物語……渡辺美代子(漫画)

 表紙は黒字の紙に銀のインクで印刷。イラストを描く会員が多かったので、そっちの面が充実している。のちにプロのイラストレーターになった人もちらほら。この人たちは剣魔界というアート系のグループをべつに作って活動をはじめた。末弥純画伯とは、そちらを通じて接触したのであった。
 ちなみにエッセイを書いている「渡辺かおる」というのは、作家ひかわ玲子氏のことである。

 当方は「翡翠男の眼」の翻訳とエッセイ(市橋豊名義)を寄せている。ちなみに、この筆名の由来は当方の出身地。うしろから読んでいただきたい。
 当時ムアコックにいれこんでいた当方は、この後EFCの会長になって、会誌第2号を編集した(もっとも、2号しか出なかったが)。これが若気のいたりというやつだろうか。

 じつは数年前に河出文庫から『不死鳥の剣 剣と魔法の物語傑作選』を出すとき、この「翡翠男の眼」を新訳した。翻訳技術のほうは、さすがに多少は向上していて、ひと安心であった。(2006年9月15日)

【追記】
「夢見る都」(同誌1974年6月号)と「死せる神々の書」(同誌1974年9月号)の2篇。

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