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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.08.18 Sat » 「眼下の星」のこと

【前書き】
 以下は2007年9月6日に書いた記事である。


 30年近く探していた雑誌を最近ようやく入手した。〈銀河〉という大判グラフィック誌の1975年11月増大号である。

2007-9-6

 SFセミナーのオークションで一度だけ見かけたのだが、そのときは競り負けて悔しい思いをした。それだけに喜びもひとしおだ。情報をくださった代島正樹氏にあらためて感謝する。

 「メルヘン&ファンタジーの天球儀」と表紙にあるように、内外ファンタシーの創作とイラストレーションを満載した雑誌で、仕掛け人は編集顧問の荒俣宏と編集人の竹上昭(野村芳夫)の〈リトル・ウィアード〉コンビ。この雑誌について詳しく記している暇はないので、レイ・ブラッドベリ、カート・ヴォネガット・ジュニア.、デイヴィス・グラッブ、マンリイ・ウェイド・ウェルマン、アルフォンス・アレの作品が翻訳掲載されているとだけ書いておく。
 ちなみに、この書誌情報はインターネットをちょっと調べたくらいでは出てこない。前から何度もいっているように、ネットを過信するのは危険である。

 さて、話題にしたいのはウェルマン(同誌の表記はウエルマン)の「眼下の星」という作品。この題名だけは前から知っていて、どういう作品か推測はついていたのだが、現物を手にして確認できた。
 “Stars Down There” と原題が明示されている。つまり、銀の弦を張ったギターをかかえてアパラチア山地を放浪する吟遊詩人を主人公にした《シルヴァー・ジョン》シリーズ中の1篇で、国書刊行会から出た連作短篇集『悪魔なんかこわくない』に収録されている「はるか下のほうの星」と同じ作品なのだ。

 まあ、原稿用紙2枚程度のスケッチで、作品と呼ぶのもはばかられるのだが、もともとこの連作を1冊にまとめるにあたって書きおろされたブリッジの部分なのだから仕方がない(細かいことをいうと、単行本刊行より先にプレヴューとして〈F&SF〉に掲載された)。言い換えれば、これだけ読んでもしかたがないということだ。
 《シルヴァー・ジョン》シリーズは、これが本邦初紹介というわけでもないから、いまとなってはこの翻訳に歴史的価値すらないのだが、ウェルマン・ファンの当方としては、推測を実証できただけで満足なのであった。(2007年9月6日)

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