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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.08.24 Fri » 〈ファンタシー・マガジン〉創刊号

【承前】
 せっかく表紙をスキャンしたので、〈ファンタシー・マガジン〉創刊号(1953年3月号)を紹介しておこう。表紙絵はハネス・ボクである。

2009-2-24(Fantasy)

 同誌はダイジェスト・サイズ、160ページの雑誌で、2号からは〈ファンタシー・フィクション〉と名前を変えた。〈剣と魔法〉、伝統的な幽霊小説、都会的なユーモア・ファンタシーなど怪奇幻想文学を幅広く載せた誌面は、〈ウィアード・テールズ〉+〈アンノウン〉といった感じ。53年中にほぼ隔月刊で4冊出たが、あえなく終刊となった。
 ちなみに拙編のモンスター小説アンソロジー『千の脚を持つ男』(創元推理文庫)に収録したジョン・ウインダムの「お人好し」は、同誌6月号に初出である。

 小説が載っているだけで、コラムの類は編集前記と次号予告くらい。愛想のない雑誌だが、イラストはなかなかいい。フリース、エムシュといった一流どころの名前も見える。

 さいわい邦訳された作品が3つもあるので、目次を書き写しておこう――

「トラニコスの宝」ロバート・E・ハワード(L・スプレイグ・ディ・キャンプ編集)
Ashtraru the Terrble ポール・アンダースン
Dragon Fires スティーヴ・フレイジー
Too Gloomy for Private Pushkin リチャード・デミング
「悪魔たち」ロバート・シェクリイ
「給餌の時間」フィン・オドノヴァン(R・シェクリイの筆名)
The Night Shift フランク・ロビンスン

 SF畑の名前がならぶなか、ミステリ作家デミングの存在が異色。作品は、イタリア戦線の古城でアメリカ兵が出会った怪異を描いたもので、ひねりの利いた幽霊小説だったのだろうが、いまとなってはそのツイスト自体が古風で凡庸に思えるところが悲しい。

 アンダースンとフレイジーは、ともにユーモア・ファンタシー。前者は中東で発掘された出土品にくっついてアメリカへやってきたマイナーな神様と、考古学者がくり広げるドタバタ。後者はドラゴンの社会を材にとり、人間くさく情けないドラゴンたちを描いた作品。どちらも悪くないが、邦訳するほどの値打ちはない。
 ロビンスンの作品はホラーだと思うが、内容はきれいさっぱり忘れている。

 余談だが、編集長レスター・デル・レイは1968年に新雑誌〈ワールド・オブ・ファンタシー〉を世に問い、ふたたびファンタシー雑誌に挑戦したが、こちらも4号で終わったのだった。(2009年2月24日)
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