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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.09.12 Wed » 『スタークとスター・キング』

【前書き】
 以下は2006年2月27日に書いた記事に手を加えたものである。


 待ちわびていた本が、やっと届いた。エドモンド・ハミルトン&リイ・ブラケットの Stark And the Star Kings (Haffner Press, 2005)である。

 刊行が遅れに遅れたうえに、昨年夏に注文した本が、郵便事故で紛失。うんざりするようなメールのやりとりで返金交渉をするはめになり、けっきょく、べつの書店から買った本が、ようやく到着したのだ。これを喜ばずにいられようか。

2006-2-27(Stark)

 本が大きすぎて、うちのスキャナーではうまく撮れないので、上の画像はflickerからお借りした。

 さて内容だが、すでに何度も書いたように、ハミルトンの人気シリーズ《スター・キング》とブラケットの人気シリーズ《エリック・ジョン・スターク》の集大成。まずは目次を簡略化した形で書き写しておこう。例によって発表年と推定枚数を付す――

1 『スター・キング』 '47/'49 (520) 
2 Queen of the Martian Catacombs '49 (165)
3 金星の魔女 '49 (190)
4 Black Amazon of Mars '51 (185)
5 『スター・キングへの帰還』 '70 (435)
6 Stark and the Star Kings '05 (90)

 1と5は《スター・キング》シリーズの長篇。
 2、3、4が《エリック・ジョン・スターク》シリーズに属すノヴェラ。このシリーズは、水星人に育てられた地球人スターク(水星人名ヌチャカ)が太陽系を放浪するプラネタリー・ロマンス。設定でわかるように、先住民に育てられた白人のはみだしヒーローもの西部劇をSFに移植し、〈剣と魔法〉の風味を加えた作品で、かなり出来がいいのだが、長さがネックになって邦訳が進んでいないのが残念。
 ちなみにこの3作以外にも、2と4を(エドモンド・ハミルトンが)書きのばした短い長篇2作と、設定をあらためて1970年代に書かれた長篇3作がある。

 6は本書の目玉で、おしどり夫婦がいちどだけ連名で共作し、ふたりのヒーローを共演させた作品。ハーラン・エリスン編のアンソロジー The Last Dangerous Visions のために書かれたが、肝心の同書が未刊のため、お蔵入りになっていたいわくつきの作品である。こんな話だ――

 すべてを呑みこみ〈虚無〉が銀河系の果てに生じた。この危機に対処するため、スタークは長老アールの超能力ではるかな未来に送りこまれる。そこで宇宙の覇者スター・キングたちと力を合わせ、超エネルギー兵器で〈虚無〉を消滅させる使命を負って。だが、群雄割拠のスター・キングたちは、簡単には協力しようとしないのだった……。

 面白いことに、これまで敵役だったショール・カンがスタークと友情を結んで大活躍し、ジョン・ゴードンは脇役にまわっている。
 パートごとに文章がちがうので、どちらが執筆したのかはっきりわかる。まさに共作の醍醐味を味わえて満足であった。

 ちなみに、ジョン・ジェイクスが序文を寄せ、若いころ、ハミルトン夫妻に会ったときの思い出を綴っている。ライバーに会ったときの話もあり、なかなか興味深かった。

 めでたいので、カヴァーだけでなく、袖に載っていたハミルトン夫妻の写真もアップしておく。

2007-2-27(Hamiltons)

(2006年2月27日+2012年9月9日)

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