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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.09.15 Sat » 『火星の海王たち』

 スティーヴン・ジョーンズといえば、当方が敬愛してやまない編集者だが、彼が編纂したすばらしい本を紹介しておく。リイ・ブラケットの傑作集 Sea-Kings of Mars and Otherworldly Stories (Gollancz, 2005) である。

2009-8-22(Sea Kings)

 ファンタシーの名作を廉価で普及しようというトレード・ペーパーバック叢書《ファンタシー・マスターワークス》の1冊。ブラケットの作品は、火星や金星を舞台にしているので、形としてはSFにふくまれるのだが、これがファンタシーの叢書にはいるところが時代である。

 巻頭にブラケットが1976年にファンジンに寄せた自伝的スケッチ、巻末に編者ジョーンズの解説を置き、そのあいだにブラケットの代表的中篇12作をはさむという構成。まさに至れり尽くせりで、こういう本を作らせると、ジョーンズの腕前は天下一品だ。

 ご存じのとおり、ブラケットの作品は、俗に〈プラネタリー・ロマンス〉と呼ばれる異星冒険活劇なので、ある程度の長さがいる。したがって、本書には短くて90枚、長くて335枚の作品が収録されている。邦訳のあるものだけ題名をあげると――

「赤い霧のローレライ」(レイ・ブラッドベリと共作)、「消滅した月」『リアノンの魔剣』「金星の魔女」「シャンダコール最期の日々」

 未訳作品もこれらと大同小異。そのうち3篇は《エリック・ジョン・スターク》もの。プラネタリー・ロマンス傑作集としては文句ない内容である。
 ちなみに、『リアノンの魔剣』は、エースのダブルで単行本化されたときの題名。〈スリリング・ワンダー・ストーリーズ〉初出時には Sea-Kings of Mars という題名だった。本書には初出時の題名で収録されている。(2009年8月22日)

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