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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.10.02 Tue » レム初紹介なりや

 ミステリー文学資料館に行ってきた。目的は、雑誌〈探偵倶楽部〉のバックナンバーに当たること。
 以前この日記に書いたように、同誌は1956年から1957年にかけて集中的にSFを翻訳・紹介した。よほどの目利きがいたらしく、いま見ても納得のラインナップで、のちにべつの形で読めるものになったものばかり。
 常連寄稿者に今日泊亜蘭や都筑道夫がいるので、彼らがブレーンだったのかもしれない。くわしいことをご存じの方がいらっしゃったら、ご教示願いたい。

 つい話がそれた。この雑誌にはロシア/ソヴィエト文学者の袋一平も噛んでいて、ソ連のミステリなどを盛んに紹介していた。その一環としてスタニスワフ・レムの紹介をいち早く行なっているのだ。同誌1958年1月号に短篇「君は生きているのか?」を訳載し、「レムについて」という囲み記事を寄稿しているのである。ちなみに、表記は「スタニスラフ」。レムに関しては、原音表記への移行が成功したといえる。

 この情報は以前から把握していたのだが、現物を見たことがなかった。そこでコピーをとってきたしだい。 

2009-10-18(Lem)

 惹句に「共産圏ポーランドの作家の書いた最も新しい空想科学小説」とあるが、これは掛け値なしの真実。ロシア語からの重訳だが、そのテキストは「技術青年」1957年7月号なので、ほぼリアルタイムの翻訳であったわけだ。

 この作品はのちに〈SFマガジン〉1962年8月号に一字ちがいの「君は生きているか?」の題名で転載された。
 レムはそれ以前に2回同誌に登場しているが、最初がアンケートの回答、つぎがエッセイだったので、小説家としての登場はこの再録が初だった。

 さて、これをレムの本邦初紹介といいたいところだが、ロシア/ソヴィエト文学方面でもっと早く紹介されていた可能性もないではない。しかし、この調査は門外漢の手にあまる。奇特な研究者の出現を待つしかないのであった。(2009年10月18日)
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