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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.10.13 Sat » 『惑星を離れて』

 先日シマックの未訳短篇を読みたくて短篇集をとり寄せた話を書いたが、いい機会なので残りの作品も読んでみた。シマックを原文で読むことなど滅多にないからだ。

 読んだのは Off-Planet (Metheuen, 1988) という短篇集。ただし、当方が買ったのは翌年にマンダリンから出たペーパーバック版だが。図書館の廃棄本で、貸し出しカードのポケットが糊付けされていたり、破れているページがあったりして、状態は非常に悪い。が、読むには支障ないので我慢しよう。

2010-3-25(Off the Planet)

 F・ライアルという人が編集にあたっていて、序文も書いている。最後に「1988年1月」と記されているが、そのあと追記があって、本の刊行前にシマックが亡くなったことが報告されている。とすると、これが遺作になるのか。

 収録作はつぎのとおり。例によって発表年と推定枚数も付しておく――

1 Construction Shack '73 (35)
2 鬼 '44 (135)
3 Junkyard '53 (115)
4 The Observer '72 (35)
5 The World That Couldn't Be '58 (120)
6 影の世界 '57 (120)
7 Mirage '56 (70)

 著者の短篇集に未収録の作品を集めたものだが、要するに落ち穂拾い。これはという作品はひとつもない。正直いってがっかりだった。特に文章がスカスカなのには幻滅。作家は最高作で評価されるべきなので、シマックの評価が落ちるわけではないが、未訳作品をバリバリ読もうという気にならないのもたしかだ。

 集中ベストは邦訳のある2。それにつづくのが5だろうか。異星で摩訶不思議なけものを追跡するハンターの話。これに特殊な生態系をめぐる謎の解明がからんでくる。
 追っていくうちに、けものの知能がどんどん高くなり、ハンターは何度も罠にかけられそうになるなど、途中まではいいのだが、結末がいただけない。アメリカ流のハッピー・エンディングが悪いほうに出ている。
 それでも、モンスターSFアンソロジーを編むとき使えるかもしれないので、頭の隅にとどめておこう。(2010年3月25日)

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