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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.10.25 Thu » 『文学上の剣士と魔術師――ヒロイック・ファンタシーの創造者たち』

 注文した本が海外から届けば、いつも小躍りしたくなるのだが、このときはじっさいに本を抱えて踊りまわった。手にはいったことが奇蹟にすら思えた。それがL・スプレイグ・ディ・キャンプの評論集 Literary Swordsmen and Sorcerers: The Maker of Heroic Fantasy (Arkham House, 1976)だ。ちなみに表紙絵はティム・カークの筆になるもの。

2005-7-21 (Literary Swordsmen)

 なにしろアーカム・ハウスの本である。おまけに斯界の重鎮ディ・キャンプのヒロイック・ファンタシー論である。当方にとっては、まさに「聖典」としか呼びようがない。25年前から名前だけ知っていて、まさか手にはいることはないだろうと思っていた本なのだ。紙のせいなのか、インクのせいなのか、独特のにおいがするのだが、それもまた好もしく思えてくる。

 内容は、ヒロイック・ファンタシーの主要作家9人(追記参照)の評伝に概論を足したもの。日本で書かれたヒロイック・ファンタシー関係の文章は、ほとんどがこの本(あるいは、その元になった雑誌発表版)をタネ本にしている。もちろん、当方も例外ではなく、河出文庫のアンソロジー『不死鳥の剣』の解説を書くときに下敷きにした。
 そういうわけで、内容に新味はないのだが、当方はこの本を舐めるように読んだ。ディ・キャンプのヒロイック・ファンタシーにかける情熱が伝わってきて、読んでいるとひとりでに顔がにやけてくる。こういう経験は、ざらに味わえるものではない。
 もっとも、先人の業績は認めたうえで、それを批判的に乗り越えることが、あとにつづく者に課せられた義務だろう。この本に関しても、それは例外ではない――と、自戒をこめて記しておく。

おまけ
 せっかくなので、扉ページもスキャンしておく。ディ・キャンプの署名入り。左ページの図版はダンセイニの「ブラグダロス」に付されたシームのイラストである(2005年7月21日)。

2005-7-21 (Literary Swordsmen 2)

【追記】
 具体的にはウィリアム・モリス、ロード・ダンセイニ、H・P・ラヴクラフト、E・R・エディスン、ロバート・E・ハワード、フレッチャー・プラット、クラーク・アシュトン・スミス、J・R・R・トールキン、T・H・ホワイトの9人。

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