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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.11.10 Sat » 『カル アトランティスの追放者』

【前書き】
 以下は2006年11月1日に書いた記事である


 うれしい本が届いた。ロバート・E・ハワードの Kull: Exile of Atlantis (Del Rey, 2006) である。

2006-11-1(Kull)

 表題どおり、ハワードのヒロイック・ファンタシー、《キング・カル》シリーズを集大成したもの。ラスティ・バークが監修を務める一連の原典集成叢書の一冊だが、これまでの巻とちがって、ワンダリング・スターの豪華本をすっとばしたデル・レイのオリジナル。既刊がよほど好評なのだろう。めでたいかぎりだ。

 もっとも、《キング・カル》の原典集成は、すでに Kull (Baen, 1995) で実現しているので、どういう付録がつくのか楽しみにしていたのだが、未発表の詩やら断片や草稿やらを7篇も初公開してくれた。さらにカル王は出てくるものの、厳密には《ブラン・マクモーン》シリーズに属す「闇の帝王」まで(既刊と重複して)収録している。どうやら、関連の原稿はすべて収録したらしい。文字どおりの集大成だ。

 今回もパトリス・ルネが力のこもった解説を書いている。まだこの解説とスティーヴ・トムキンズの序文しか読んでいないが、これだけで満足である。小説はむかし読んだので、あわてて読むことはない。

 このシリーズは《コナン》の原型として名高いが、血湧き肉躍るという感じではない。
 というのも、舞台こそ超古代だが、超自然的な事件があまり起きないし、主人公は闘うかわりに、現実と幻影の相克やら、自我の同一性やらといった哲学的な問題に頭を悩ませてばかりいるのである。(2006年11月1日)


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