fc2ブログ

SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

2012.10 « 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 » 2012.12

2012.11.15 Thu » 『昏い野蛮人』

【前書き】
 以下は2007年5月8日に書いた記事である。


 《新訂版コナン全集》の校訂と解説を担当することになり、作者ロバート・E・ハワードの人と作品について勉強し直しているのだが、その一環としてドン・ヘロン編の評論集 The Dark Barbarian (Lightning Source Inc., 1984) を読んだ。ただし、当方が持っているのは、2000年にワイルドサイド・プレスから出た再刊である。

2007-5-8(Dark Barbarian)

 ワイルドサイド・プレスの本は魅力的なタイトルが多いが、造りが雑なので、なるべく買わないようにしている。だが、この本は買わないわけにはいかなかった。というのも、ハワードの最新伝記であるマーク・フィンの本に参考図書としてあがっていたからだ。覚悟していたとおり、安っぽい造りの本だったが、内容はさすがに充実していた。

 編者ヘロンの序論につづき、8人の論者がさまざまな角度からハワードの作品について論じた文章が収録されている(追記参照)。さらにハワードの蔵書リストや作品ガイドといった付録がつく。ハワードの詩について大きくページが割かれているのが特徴で、なかなか勉強になった。
 いちばん面白かったのは、ハワードの西部小説を概説したベン・P・インディックの評論。つぎが、ハワードのファンタシーを異世界ファンタシーの文脈に置かず、ハメット流ハードボイルド・ミステリの等価物と見るジョージ・ナイトの評論。別格でハワードの文体を簡潔に論じたフリッツ・ライバーのエッセイか。
 もっとも、元が古いので、のちに訂正された誤情報に基づいての論述が散見するのが歯がゆい。日本でも事情は同じなので、流布している誤情報の訂正に力を注ごう、とあらためて思ったしだい。(2007年5月8日)

【追記】
 著者のひとり、ジョージ・ナイトは編者ドン・ヘロンの変名だと判明した。ヘロン名義でも評論が収録されているので、正確には7人による8本の評論ということになる。

スポンサーサイト