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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.11.19 Mon » 『怪奇な話』――ピーター・ヘイニング追悼

【前書き】
 本日は怪奇幻想文学研究の先達、ピーター・ヘイニングの5回忌である。故人を偲び、訃報に接したさいに認めた日記を公開する。


 イギリスのアンソロジスト、ノンフィクション作家、ピーター・ヘイニングが11月19日に亡くなったそうだ。享年67。そんなに若かったのか、と意外の念に打たれる。とにかくキャリアが長いので、もっと年上かと思っていた。

 調べてみたら、1965年から2007年にかけて多くのアンソロジーを編み、その数は130を超える。玉石混交の感は否めないが、非常に珍しい作品を発掘してくれるので、ほかには得がたいアンソロジストだった。
 邦訳されたもののなかでは、『ヴァンパイア・コレクション』(角川文庫)と『死のドライブ』(文春文庫)が出色。力のこもった解説とあわせて、たっぷりと勉強させてもらった。

 さて、掲題の『怪奇な話』は、吉田健一の作品集ではなく、ヘイニングが編んだアンソロジー Weird Tales (Neville Spearman, 1976) のこと。ただし、当方が持っているのは、90年にキャロル&グラフから出た復刊版のハードカヴァーだが。

2007-11-25(WT)

 表題どおり、伝説の怪奇パルプ雑誌〈ウィアード・テールズ〉の傑作集。同種の本がたくさん出ているので、いかに差別化をはかるかがアンソロジストの腕の見せどころだが、さすが練達の手になるものだけあって、みごとな出来映えとなっている。

 というのも、小説を集めるだけではなく、パルプ雑誌の誌面そのものをよみがえらせる作りになっているのだ。つまり、誌面をファクシミリで複写し、そのまま版下にしているわけだ。
 したがって、当時のイラストや広告、さらには読者のお便り欄、怪奇実話、イラスト企画(ヴァージル・フィンレイとリー・ブラウン・コイ)、埋め草の詩などが復刻されている。

 もちろん小説も充実している。全部で22篇が収録されているが、定番は避けて、その次くらいの作品を選んでいるのが特徴か。
 邦訳がある作品を並べると、「帰ってきた男」E・ハミルトン、「眠りの壁の彼方」H・P・ラヴクラフト、「アドンパの庭園」C・A・スミス、「不死鳥の彼方」H・カットナー、「谷間は静かだった」M・W・ウェルマン、「バルザックの珍獣たち」R・ブロック、「バーン! おまえは死んだ!」R・ブラッドベリ、「監房ともだち」T・スタージョン、「場違いな存在」E・F・ラッセル、「人喰い沼」A・ラッドの10篇。
 このほかR・E・ハワード、A・ダーレス、S・クイン、H・S・ホワイトヘッド、F・ライバー、M・E・カウンセルマンなど、主要な作家はひと通り顔をそろえている。

 今夜はこの本を拾い読みして、故人の徳を偲ぼうと思う。合掌。(2007年11月25日)

おまけ
 当方のお気に入りの画家、ボリス・ドルゴフのイラスト。

2007-12-25(WT 3)

 出版社アーカム・ハウスのアピール。千人の読者がいれば本が出せるのだ。みんな、自分のお気に入りの作家の本だけでなく、ウチで出す本を全部買ってくれ、という悲痛な呼びかけ。

2007-12-25(WT 2)

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