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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.11.21 Wed » 『未知』

【前書き】
 以下は2009年2月7日に書いた記事である。雑誌の傑作選つながりで公開する。


 昨年の12月25日、アメリカSF界に偉大な足跡を残した画家エド・カーティアが永眠した。カーティアといえば、故野田昌宏氏をSFに狂わせた画家であり、いまさら当方ごときが何か書くまでもあるまいと思ったが、この人のイラストを売り物にしたアンソロジーを持っていたのを思いだしたので、遅ればせながら追悼をしたいと思う。

 まずはD・R・ベンセン編の The Unknown (Pyramid, 1963) だ。表題の Unknown は、SF誌〈アスタウンディング・サイエンス・フィクション〉の姉妹誌として創刊され、アメリカ幻想文学界に新風を吹きこんだとして著名なパルプ・ファンタシー雑誌〈アンノウン(ワールズ)〉のこと。1939年から43年のあいだに39号しか出なかったが、その影響力には絶大なものがある。そのベストとして編まれたのが本書というわけだ。表紙にカーティアの名前が出ていることに留意されたい。

2009-2-7 (Unknown 1)

 編者ベンセンのことはなにも知らなかったが、調べてみたらピラミッド・ブックスの編集者だった。そうか、ディ・キャンプの〈剣と魔法〉アンソロジーをはじめとするファンタシー路線は、この人が仕掛け人だったのか。

 さいわい邦訳された作品が多いので、目次を書き写しておく――

まちがえられた後光 ヘンリー・カットナー
Perscience ネルスン・S・ボンド
昨日は月曜日だった シオドア・スタージョン
The Gnarly Man L・スプレイグ・ディ・キャンプ
凄涼の岸 フリッツ・ライバー
小人の棲む湖 H・L・ゴールド
Double And Redoubled マルコム・ジェイムスン
月のさやけき夜に マンリー・ウェイド・ウェルマン
ミスター・ジンクス ロバート・アーサー
スナル虫 アントニー・バウチャー
悪魔と坊や フレドリック・ブラウン

 これにアイザック・アシモフの前書きと編者の序文がつく。

 ちなみに〈SFマガジン〉1971年6月号が、このアンソロジーを母体に「なつかしのアンノウン特集」を組んでいる。カットナー、ウェルマン、アーサーの作品が訳出され、エド・カーティアのカットが何枚か紹介されているのだ。
 この時期の同誌が、アチラのアンソロジーから作品を抜粋して特集の形にしているのは前に書いたとおりだが、この特集では、めずらしくその旨が明記されている。

 未訳作品だが、さすがに未訳で残っているだけあって、たいしたことがない。が、ディ・キャンプの作品は例外。サーカスで見せ物になっているゴリラ男が、じつは本物のネアンデルタール人だったという話。このネアンデルタール人は不死身のうえに頭脳明晰、非の打ち所のない紳士なのだが、わざと粗野な原人のふりをしている。見せ物に出ていれば、だれも自分が本物だとは思わないからだ。

おまけ
 スタージョン「昨日は月曜日だった」の挿し絵。コミック路線。

2009-2-7 (Unknown 2)

 ジェイムスン作品の挿し絵。怖い絵もいいね。

2009-2-7 (Unknown 3)

(2009年2月7日)

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