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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.11.30 Fri » 『アトランティスのエラーク』

 パイゾというゲーム系の出版社が《プラネット・ストーリーズ・ライブラリ》という叢書を出している。そのうちの1冊が、ヘンリー・カットナーの Elak of Atlantis (Paizo, 2007) だ。

2008-10-2 (Elak)

 これはうれしい本である。というのも、カットナーは修業時代、ポスト・コナンをねらってヒロイック・ファンタシーに手を染め、ふたつのシリーズを遺したが、本書はその全6作を集大成したものだからだ。この6作が1冊にまとまるのは世界初の快挙である。
 収録作はつぎのとおり――

《アトランティスのエラーク》
暁の雷鳴
ダゴンの末裔
不死鳥の彼方
ドラゴン・ムーン
《レイノル王子》
呪われた城市
暗黒の砦

 じつは《エラーク》シリーズの4篇は、本書と同題の連作集 Elak of Atlantis (Gryphon Books, 1985) として1冊にまとまったことがある。ただし、これはファン出版社が出した500部限定版。稀覯本の類で、当方も入手できずにいた(追記参照)。
 そこへ《レイノル王子》シリーズも合わせた版が出たわけで、これは飛びつくしかない。原文テキストは、各種のアンソロジーに載ったものを所有しているが、これでいちいちアンソロジーを何冊も引っぱりだす面倒が省けるというもの。

 だが、本書には書誌データに誤りがあって、そこが玉に瑕である。というのは、《レイノル王子》シリーズの初出が〈ウィアード・テールズ〉になっているからだ。いうまでもなく、その競合誌〈ストレンジ・ストーリーズ〉が正しい。
 ついでに書いておくと、序文を担当したジョー・R・ランズデイルは〈ストレンジ・テールズ〉と誤記している。混同しやすいが、両者はまったく別物なのである。

 ついケチをつけてしまったが、ランズデイルの序文はSFファン気質まるだしでカットナー再評価を訴えるものであり、少々意外だった。なにか憎めないやつだと思っていたが、なんだ同じ穴の狢だったのか。
 それにしても表紙に Author of THE LAST MIMZY とあるのが、なにか哀れ。(2008年10月2日)

【追記】
 念のために調べたら、《レイノル王子》シリーズ2篇も同じ出版社から Prince Rynor (1987) として500部限定で刊行されていたほか、ボルゴ・プレスからも同年にハードカヴァーが出ていたとわかった。

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