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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.12.18 Tue » 『隣のエイリアン』

 昨日のつづき。

 マイクル・シェイの「検視」という作品は、表題どおり死体をいじくりまわす話。検視解剖のようすが克明に描かれていて、気色悪いことこの上ない。しかも、そのなかば切り開かれた死体がいきなり動きだすのだ。動きだす理由が作品の肝なので触れないが、ホラーSFの知られざる佳品といえる。ぜひどこかで復活させたい作品である。

 その「検視」を目玉のひとつにしたアンソロジーが、ジャック・ダン&ガードナー・ドゾワの Aliens among Us (Ace, 2000) だ。
 これは「人間に身をやつして、われわれのあいだにまぎれこんでいるエイリアン」を主題にしたアンソロジー。この場合のエイリアンは、異星の生命体にかぎらず、正体不明の「異質な存在」をふくんでいる。

2007-10-30(Aliens Among Us)

 収録作は全部で15篇。そのうち邦訳があるものを並べると――

もうひとりのシーリア  シオドア・スタージョン
朝の八時  レイ・ネルスン
消耗員  フィリップ・K・ディック
現実からのトリップ  ロバート・シルヴァーバーグ
蝕むもの  C・M・コーンブルース
検視  マイクル・シェイ
さもなくば海は牡蠣でいっぱいに  アヴラム・デイヴィッドスン
エンジェル  パット・キャディガン
子供たちの午後  R・A・ラファティ
大きいけれど遊び好き  ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

 さすがに練達の編者コンビの選だけあって、じつに手堅いという印象だ。未訳の作品は、これより水準が落ちるのだが、これだけの作品を集めてくれれば文句はない。

 シルヴァーバーグの作品は、当方も気に入って〈SFマガジン〉に邦訳を載せてもらったこともある(追記参照)。とにかく、本書の目次を見ていると、対抗心がむらむらと湧いてきて、同じテーマのアンソロジーを作りたくなるのだ(じつは何種類も腹案がある)。こういう気持ちを起こさせること自体が、編集の妙の証左だろう。

 ところで、本書には原型となった本がある。その話はつぎの機会に。(2007年10月30日)

【追記】
〈SFマガジン〉2000年10月号に掲載。1970年代SF特集の一環だった。

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