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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.12.24 Mon » 『ガニメデのクリスマス』

 クリスマス・イヴということで、マーティン・H・グリーンバーグ編のアンソロジー Christmas on Ganymede (Avon, 1990) を紹介する。ジェイムズ・ウォーホラという人の表紙絵が楽しい。

2011-12-16 (Christmas)

 周知のとおり、欧米にはクリスマス・ストーリーの伝統がある。もちろん、SF界も事情は同じで、秀作・佳作がごろごろしている。本書はそのSF版クリスマス・ストーリーを集めたもの。定番中の定番を押さえたうえで、新しめの作品を合わせている。

 もっとも、クリスマス・ストーリーといえば「ちょっとした奇跡が起きるハート・ウォーミングな物語」という先入観を裏切って、後味の悪い作品が混じっているのが特徴。珍しくグリーンバーグ単独の編著だが、ひょっとすると、これがグリーンバーグの持ち味なのかもしれない。

 収録作はつぎのとおり――

To Hell with the Stars  ジャック・マクデヴィット '87
真冬の夜の物語  マイクル・スワンウィック '88
ガニメデのクリスマス  アイザック・アシモフ '42
The Falcon and the Falconer  バリー・N・マルツバーグ '69
クリスマス・ツリー  ジョン・クリストファー '49
ハッピーバースデイ、イエスさま  フレデリック・ポール '56
ツリー会戦  ジーン・ウルフ '79
サンタクロースの星  フランク・M・ロビンスン '51
The Pony  コニー・ウィリス '85
O Little Town of Bethlehem Ⅱ  ロバート・F・ヤング '85
クリスマス・プレゼント  ゴードン・R・ディクスン '58
The Season of Forgiveness  ポール・アンダースン '73
Christmas without Rodney  アイザック・アシモフ '88
クリスマスの反乱  ジェイムズ・ホワイト '62

 未訳の作品は、ほとんどが「後味の悪い」系統。特にウィリスやマルツバーグの作品は、よりによってこれを選ぶかといいたくなる。ヤングの作品も、ファンが読んだらがっかりするだろう。
 
 例外的にアンダースンの作品は、地球人と異星人の交流を描いた「心温まる」物語だが、白人入植者とアメリカ先住民の関係を地球人と異星現地人に置き換えただけなので、いま読むと興ざめのきらいがある。

 けっきょく、定番のポールやホワイトの作品がいちばん出来がいい。独自性を出そうとして、編者の意図が裏目に出た感があり、アンソロジーのむずかしさを感じさせる。ひるがえって、自分を省みるしだい。(2011年12月16日)

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