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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.12.31 Mon » 『一角獣!』

 ユニコーンつながりで、ジャック・ダン&ガードナー・ドゾワ編のアンソロジー Unicorns! (Ace, 1982) を紹介しよう。

2006-12-2(Unicorns!)

 これはダン&ドゾワが出していた一連の幻獣アンソロジーの第一弾。第二弾が邦訳のある『魔法の猫』(扶桑社ミステリー)で、これらが好評だったらしく、幻獣シリーズは全部で15冊にふくれあがった(同じ版元から同じスタイルで違う編者で出た本はのぞく)。
 余談だが、「幻獣」という言葉は、やはり特殊な言葉らしく、以前あるところで「幼獣」と誤植された。もしかすると、編集者か印刷所の人が気を利かせたつもりだったのかもしれない。なんにしろ、それ以来、説明ぬきで使えそうな媒体でしか使わなくなった言葉だ。ここなら大丈夫だろう。

 さて、収録作は16篇で、ファンタシーとSFがゴチャ混ぜになっている。目次を書き写すと長くなるので、邦訳があるものだけ挙げると――

「一角獣の泉」シオドア・スタージョン
「中世の馬」ラリー・ニーヴン
「白いロバ」アーシュラ・K・ル・グィン
「ユニコーン・ヴァリエーション」ロジャー・ゼラズニイ
「ユニコーンが愛した女」ジーン・ウルフ
「ユニコーン」T・H・ホワイト(『永遠の王』から抜粋)

 あとはL・スプレイグ・ディ・キャンプ、ハーラン・エリスン、トマス・バーネット・スワン、スティーヴン・ドナルドスン、ヴォンダ・N・マッキンタイア、ドゾワ、フランク・オウエンといった名前が並ぶ。駄作もないかわりに、とびきりの傑作もない。ひとことでいえば手堅いアンソロジーだが、冒頭にアヴラム・デイヴィッドスンの風変わりなエッセイ(追記参照)がはいっているのがアクセントになって、アンソロジー自体の印象を強めている。

 未訳作品のなかでは、スワンの掌編“The Night of the Unicorn”がまあまあ。スワンにはめずらしく現代のユカタン半島を舞台にしている。15枚と短いので、ファンジン向きの作品となっており、当方は三つのファンジン翻訳を知っている。そういえば、エリスンの“On the Downhill Side”という短篇もファンジン翻訳があったなあ。
 ドナルドスンは50年代SF風のアンチ・ユートピアもの、マッキンタイアは出来の悪い少女漫画風なので、ファンの人は期待しないように。(2006年12月2日)

【追記】
 《非歴史上の冒険》と題されたノンフィクション・シリーズの1篇“The Spoor of the Unicorn”のこと。2012年5月1日の記事を参照してもらえればさいわい。

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