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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.07.24 Wed » 『魔術の諸領域』

 昨日紹介した本と対になるのが Realms of Wizardry (Doubleday, 1976)だ。同時に発売されたらしく、二冊の独立したアンソロジーというよりは、大著の二分冊といった性格らしい。

2007-6-3(Realms)

 編集方針は姉妹編とほぼ同じで、大家の有名作から無名作家の珍品までとりそろえている。とはいえ、本書のほうが〈剣と魔法〉寄りで、カーターの趣味を色濃く反映している。

 収録作16篇中、長篇の抜粋が4篇。すなわちキャベル『ジャーゲン』、ハガード『洞窟の女王』、メリット『金属モンスター』、ボク『魔法使いの船』である。もっとも、キャベルの抜粋は、独立した作品として雑誌に発表された部分なので、短篇として見ることも可。
 残りのうち邦訳があるのは、ダンセイニ「ギベリン族の宝蔵」、ラヴクラフト「サルナスを襲った災厄」、ブロック「黒い蓮」、ムーア&カットナー「スターストーンを求めて」、ヴァンス「無宿者ライアン」、ムアコック「オーベック伯の夢」、ゼラズニイ「セリンデの歌」。
 このほかゲイリー・マイヤーズ、リチャード・ガーネット、ドナルド・コーリイ、ロバート・E・ハワード、クリフォード・ボールの作品が収録されている(が、邦訳したいほどの秀作はない)。

 見てのとおり非常に手堅いラインナップ。定番が多く、面白みに欠けるが、啓蒙アンソロジーだからこれでいいのだろう。
 それにしても、こういう本を編むときダンセイニの作品は重宝する。20枚以下の傑作がゴロゴロしているから、ほんとうに選り取りみどりなのだ。あらためて、その偉大さに敬服する。(2007年6月3日)
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