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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.02.07 Thu » 『ワイアールドメイカー』

【承前】
 ビッスンにサインしてもらうため用意してあったのが、幻のデビュー作 Wyrldmaker (Pocket Books, 1981) だ。これを見て、作者は苦笑いをしたような気がする。

2005-7-25 (Wyrldmaker)

2005-7-25 (Wyrldmaker 2)

 変わった題名は作中に出てくる魔剣の名前。たぶん“world”と“wild” にかけているのだろう。このひとふりの剣をめぐって、ヒロイック・ファンタシー調の冒険譚がつづられ、最後にSF的な合理化がある。

 どうせ翻訳は出ないからタネを明かすと、この不思議な世界は、じつは世代宇宙船の内部で、魔剣はコンピュータ・システムを動かすマスター・キーだったというオチ。
 
 陸上帆船で草原を旅するところなど印象的な場面もあるが、総じていえば水準作。暇つぶしにはもってこいだが、残るものはなにもないタイプの作品である。(2005年7月25日)

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