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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.05.09 Thu » 『征たれざる国』

【承前】
 「逃避としての幻想を幻想小説の形で描いた作品」といえば、ジェフ・ライマンの「征{う}たれざる国」も忘れがたい。カンボジアをモデルにした架空の国を舞台に、戦乱のなかで生きる人々の苦しみや悲しみを綴った作品だが、グロテスクなイメージが横溢していて、悪夢めいた印象を残す佳品である。

 はじめ拙訳が〈SFマガジン〉1989年11月号に載ったのだが、駆け出しもいいころの仕事で、訳文のまずさは自覚していた。さいわい10年以上たって改訳する機会がめぐってきたので、全面的に訳しなおし、山岸真氏と共編した『20世紀SF⑤ 1980年代 冬のマーケット』(河出文庫)に収録した。こちらの訳は、多少は読めるものになっていると思う。

 さて、上述の翻訳は雑誌〈インターゾーン〉に掲載されたヴァージョンを底本としたもので、400字詰め原稿用紙120枚の中篇だが、これを書きのばして単行本にしたヴァージョンが存在する。それが The Unconquered Country (Unwin, 1986)だ。

2011-5-10(Unconquered)

 書きのばしたといっても、頭の部分に大きな書き足しがあるほかは、細かい手直しにとどまるので、全訳しても150枚ないだろう。本としての厚みを出すために、活字の組をゆるくしてあるほか、サーシャ・エイカーマンという人のイラストがたくさんはいっている(いま数えたら15枚あった)。

2011-5-10(Unconquered 2)

 さらに6ページにおよぶ作者の「あとがき」が付いているが、それでも本文134ページの薄いトレードペーパー。

 そうであっても単行本で出したいという編集者がいたということだ。じっさい、それだけの力のある作品である。(2011年5月10日)

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