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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.09.04 Tue » 『ヴァルハラのヤンキー』

【承前】
 こんど出すハミルトン傑作集幻想怪奇篇には「神々の黄昏」(1948)という中篇を入れる。北欧神話に材をとった作品で、ときどきSF的な合理化がまじるのだが、基本的には魔法が働くファンタシーである(追記参照)。

 おそらくその作品の原型で、もっとSF寄りなのが、The Monesters of Juntonheim (World Distributors, 1950)という長編である。
 書誌的なことを書いておくと、この作品は最初 A Yank at Vallhara の題名で〈スタートリング・ストーリーズ〉1941年1月号に発表された。50年に改題のうえ単行本化。だが、73年にエースのダブルに収録されるとき、元の題名にもどされた。当方が持っているのは、このエース版である。
 マーク・トウェインの『アーサー王宮廷のヤンキー』のもじりだろうから、元の題名のほうがいい。

2005-6-1 (Yank)

 内容はというと、アメリカの飛行士が北欧上空で異次元にまぎれこむ。そこは北欧神話の世界そのものであり、神々と巨人族の戦いに巻きこまれ、両者の滅亡を見届けるというもの。つまらなくはないが、これなら中篇「神々の黄昏」のほうが出来がいい。神話に出てくる魔法的な要素を放射能や冷凍睡眠という言葉で説明するSF的合理化が古びてしまっているからだ。
 たぶん作者自身もその点に気づいて、よりファンタシー寄りの作品に作り替えたのだろう。(2005年6月1日)

【追記】
 上記のとおり、『眠れる人の島』(創元SF文庫、2005)に新訳(市田泉訳)を収録した。

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