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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.09.02 Sun » 『恐怖の小惑星』

 蔵書自慢。エドモンド・ハミルトンの最初の単行本 The Horror on the Asteroid and Other Tales of Planetary Horror (Phillip Allan, 1936) である。

 どういう経緯で出たのかは知らないが、本国アメリカではなくイギリスで出た本。小型のハードカヴァーで、256ページ。70年も前の本にしては、かなり状態がいい。さすがに大枚200ドルをはたいただけのことはある。
 もともとはダストジャケットがついていたようだが、残念ながらなくなっていた。書名や作者名は背にしかはいっていないので、書影のかわりに扉のスキャン画像を載せておく。

2005-5-30(horror)

 さて内容だが、なにしろ《キャプテン・フューチャー》や《スター・キング》はおろか、「フェッセンデンの宇宙」や「反対進化」さえ書かれていなかったころに出た本である。典型的なパルプSFばかり、それも副題が示すようにホラー・テイストの作品を集めている。

 例によって目次を書き写しておこう。発表年と推定枚数の付しておく――

1 The Horror on the Asteroid 1933 (65)
2 呪われた銀河 1935 (50)
3 The Man Who Saw Everything 1933 (35)
4 The Earth-Brain 1932 (75)
5 マムルスの邪神 1926 (40)
6 進化した男 1931 (45)

 ちなみに、5はハミルトンのデビュー作。

 未訳作品について書いておけば、1は大気中の成分の作用で人間が退化してしまう小惑星の話。3は手術で無生物なら透視できるようになった男の話。4は地球の頭脳を怒らせて地震に追われるようになった男の話。いずれも大時代なSF風の奇譚で、邦訳する値打ちはないだろう。

 ともあれ、当時のハミルトンが、怪奇SFの作家だと思われていたことが見てとれる。そういう意味では興味深い本である。(2005年5月30日)

【追記】
 収録作のうち「呪われた銀河」は、拙編のハミルトン傑作集SF篇『反対進化』(創元SF文庫、2005)に新訳を収録した。

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