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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.09.11 Tue » 『世界の壊し屋』

 ついでにエドモンド・ハミルトンの新しい書誌も紹介しておこう。リチャード・W・ゴンバート編 World Wrecker : An Annotated Bibliography of Edmond Hamilton (Wildside Press/Borgo Press, 2010) である。

2012-8-28(World)

 2006年に亡くなったジャック・ウィリアムスンが序文を寄せている。と書けばわかるように、着手から刊行まで膨大な時間がかかった本。
 もともとはボルゴ・プレスから出る予定だったが、まごまごしているうちに版元が1999年に休業してしまい、企画を引きとったワルドサイド・プレスが、「ボルゴ・プレス」の名のもとに出版したというしだい。泣かせる話だ。

 本を開けば、製作に時間がかかるのも納得できる。とにかく知り得た情報はすべて記載するという方針らしく、これではいくら原稿をアップ・トゥ・デートしても追いつかない。編者はとりあえずの中間形態だと謙遜するが、大変な労作である。
 ただし、不確かな情報が載っているので、すべてを鵜呑みにすることは危険。そこさえ注意しておけば、プロジェクト・グーテンベルクまで押さえた書誌は有用だし、マニアにとっては読みものとして面白い。とにかく、適当にページを開いて、拾い読みするだけでも飽きないのだ。

 とりわけ驚いたのは、ハミルトンの主要作品に登場する人物、都市、場所、船、惑星、種族、生物の簡単な事典がついている点。作品を丹念に読み、ノートをとらないと出来ない仕事だ。編者の熱意には頭が下がる。

 ほかにもハミルトンの書簡リストやら、外国の雑誌もふくめた雑誌別掲載作リストやら、コミック・ブックに原作リストなど、貴重な情報が満載。
 
 もちろん、外国語への翻訳状況などは、中途半端な情報がならんでいるのだが、これも執念のたまものなので感心するばかり。ともあれ、編者には最大限の賛辞を送りたい。

【蛇足】
1.危険な情報の一例。
 前にとりあげた『最後の惑星船の謎』は、1954年にランサーから初版、1964年にロードストーンからエムシュのイラスト入り版が出たことになっている。正確な出版年は、それぞれ1964年と1972年。

2.中途半端な情報の一例。
 短篇「フェッセンデンの宇宙」の日本語訳に関しては、

in The Best from SF Magazine No.2 _Tokyo: Hayakawa Publishing, Inc. year, p.[collection][Japanese]

 とだけ記されている。(2012年8月28日)
 
 
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