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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.07.04 Thu » 『フランスに捧げる剣』

 天使の贈り物その8は、ロバート・E・ハワードの Blades for France (George Hamilton, 1975) だ。これも新しく譲ってくださったパンフレットのうちの一冊。

2012-7-6 (Blade 1)

 やはり短篇1本を小冊子にしたもので、ISBNのない私家版だが、この前紹介したパンフレットよりは、だいぶ本格的なものになっている。

 というのも、表紙カヴァーがついており、生前のハワードと親交のあったE・ホフマン・プライスが序文を寄せているからだ。ちなみに、スティーヴ・フェビアンが表紙をふくめ3枚のイラストを描いており、これも素人臭さを感じさせない要因となっている。資料によると、限定300部らしい。

2012-7-6 (Blade 2)
2012-7-6 (Blade 3)

 A5判よりちょっと大きいサイズで、全36ページ。そのうちプライスの序文は2ページで、残りはハワードの短篇(邦訳して60枚くらい)。女剣士《ダーク・アグネス》シリーズの第2作で、ハワードの生前には未発表に終わり、これが初出となった。

 ずいぶんむかしに別の本で読んだきりなので、内容は忘却の彼方だが、相棒エティエンヌ(男の剣士で犯罪者すれすれの無頼漢)と旅をつづけるアグネスが、フランス国王を標的にした陰謀に巻きこまれる話だったと思う。超自然の要素はまったくない歴史冒険小説である。

 余談だが、ハワードは強い女剣士が、強い男の剣士と同格でパートナーになるという設定を好んだ。ヴァレリアとコナンがそうだし、トルコ軍のウィーン包囲を背景にした歴史冒険小説“The Shadow of the Vulture”の主人公コンビ、赤毛のソーニャとゴットフリート・フォン・カルムバッハがそうだ。
 病弱の母親がいたから、その補償作用だという説もあるが、ハワードの胸中はいかなるものだったのか。興味深いところだ。

 さらに余談だが、マーヴェル・コミックス版《コナン》シリーズの人気キャラクターで、ブリジッド・ニールセン主演の映画まで作られた女剣士レッド・ソーニャ(Red Sonja) は、上記の赤毛のソーニャ(Red Sonya) とはまったくの別人。
 前者は《コナン》シリーズに出てくるヴァレリアとベーリトを混ぜあわせたうえに、シリーズ外の作品から名前を借用してできあがったコミックス版オリジナルのキャラクターなのだ。この点を誤解している人が多いので、注意をうながしておく。(2012年7月6日)

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