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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.06.26 Wed » 『呪文』

【承前】
 マーティン・H・グリーンバーグのショートショートが収録されていたアンソロジーを紹介しよう。Spells (Signet, 1985) である。

2013-6-22 (Spells)

 グリーンバーグがアイッザック・アシモフ、チャールズ・G・ウォーと組んで出していた《アイザック・アシモフのファンタシーの魔法世界》というシリーズの第4巻。表題どおり「呪文」 を題材にした12篇を集めている。
 表紙絵は、石川県出身だが、アメリカを拠点に活動する画家キヌコ・クラフトの作品。

 さいわい多くの作品に邦訳があるので、簡略化した形で目次を示そう。例によって発表年と推定枚数を付す――

1 どなたをお望み  ヘンリー・スレッサー 1961 (15)
2 The Christmas Shadrach  フランク・R・ストックトン 1891 (55)
3 雪の女  フリッツ・ライバー 1970 (200) *《ファファード&グレイ・マウザー》
4 目に見えぬ少年  レイ・ブラッドベリ 1945 (25)
5 The Hero Who Returned  ジェラルド・W・ペイジ 1979 (65)
6 Toads of Grimmerdale  アンドレ・ノートン 1973 (135) *《ウィッチ・ワールド》
7 A Literary Death  マーティン・H・グリーンバーグ 1985 (7)
8 悪魔と賭博師  ロバート・アーサー 1942 (45)
9 競売ナンバー二四九  アーサー・コナン・ドイル 1892 (90)
10 焼け死んだ魔女  エドワード・D・ホック 1956 (55) *《サイモン・アーク》
11 キャンパスの悪夢  スティーヴン・キング 1976 (60)
12 奇跡なす者たち  ジャック・ヴァンス 1958 (205)

 ご覧のとおり、ファンタシー、ホラー、SF、ミステリをごった煮にしたうえ、古くは1891年、新しくは1985年と選択の幅を大きくとっている。したがって、なにが飛び出してくるのかわからない面白さがある。 
  
 未訳の作品について触れておくと、2は「女か虎か」で有名な作者のロマンティック・コメディー。三角関係に悩む青年が、人の熱い気持ちを冷ます魔力を秘めた文鎮を手に入れ、それを使って自分の都合のいいようにことを運ぼうとしてひどい目にあうが、最後にはめでたしめでたしで終わる。19世紀の作品だけあって、非常にのんびりした味わい。そこが評価の分かれ目だろう。

 5は異世界ファンタシー。平凡な暮らし送ってきた渡し守が、一生に一度の冒険に出て、真の勇者であることを証明する。やや眼高手低の感あり。

 6は《ウィッチ・ワールド》シリーズの1篇。あえて端的にいえば、戦争中、敵にレイプされて、望まない子供を身ごもった女性が人生を切り開いていく話。フェミニズム色が濃くて、作者の金看板であるジュヴナイルSFとは大きく印象が異なる。(2013年6月22日)

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