FC2ブログ

SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

2018.11 « 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 » 2019.01

--.--.-- -- » スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2013.06.27 Thu » 『星々に立ち向かう人間』

 マーティン・グリーンバーグの編んだアンソロジーを紹介しよう。といっても、昨日とりあげた本の編者とは別人である。あちらが Martin H(arry) Greenberg (1941-2011) であるのに対し、こちらは Martin (L.) Greenberg (1918-) なのだ。今年95歳で、存命らしい。
 
 こちらのグリーンバーグは、SFファン出版社の濫觴のひとつ、ノーム・プレスの創始者として名高い。もとも熱心なSFファンだったが、第二次世界大戦後、復員して出版業界に身を投じ、ついには友人のデイヴィッド・カイルとともに出版社を興したのだ。戦前に発表されたSFやファンタシーが、パルプ雑誌に載ったきり、消えていきそうな事態を憂慮してのことだった。

 ノーム・プレスは1948年に創立され、SF/ファンタシー史に残る作品をいくつも刊行した。たとえば、アイザック・アシモフの《銀河帝国の興亡》3部作、アーサー・C・クラークの『銀河帝国の崩壊』、ロバート・E・ハワードの《コナン》シリーズ全7巻などだ。が、その詳細についてはべつの機会にゆずるとして、話を先へ進める。

 SFファンあがりだけあって、グリーンバーグはアンソロジーの編纂にも意欲を見せ、全部で8冊を世に問うた。その嚆矢が宇宙SF12篇にウィリー・レイの序文を合わせた Men against the Stars (Gnome Press, 1950) だ。
 好評だったのか、同書は翌年にグレイスン&グレイスンという出版社から収録作を8篇に減らし、配列を大幅に変えた普及版ハードカヴァーが出た。さらに1956年には、収録作を9篇に減らしたペーパーバック版が、ピラミッドから刊行された。当方が持っているのは、1963年に出たその2刷である。

2013-6-23 (Men 1)

 収録作はつぎのとおり。例によって発表年と推定枚数を付す――

1 Men against the Stars  マンリー・ウェイド・ウェルマン  '38 (50)
2 赤い死  ロバート・ムーア・ウィリアムズ  '40 (60)
3 金星サバイバル  ルイス・パジェット  '43 (75)
4 スケジュール  ハリー・ウォルトン  '45 (45)
5 遥かなるケンタウルス  A・E・ヴァン・ヴォート  '44 (55)
6 Cold Front  ハル・クレメント  '46 (45)
7 考える葦  マレー・ラインスター  '46 (45)
8 Competition  E・M・ハル  '43 (60)
9 影の落ちるとき  L・ロン・ハバード  '48 (40)

 面白いのは、目次から8と9が落ちてしまっていること。これもノートに目次を書き写したあと、各作品のページ数を数えようとしていたときに気がついて、びっくりした例である。

2013-6-23 (Men 2)
 
 1は作者の名前からは想像がつかない宇宙開発もの。有人宇宙ステーションの業務をリアルに描いているが、それが仇となって時代遅れがはなはだしい。
 ほかの作品もそれは同じで、ノスタルジーの対象でしかないだろう。

 もっとも、2は個人的に愛着があるので紹介しておこう。
 これは探検隊が火星で怪異に遭遇するホラーSF。エネルギーを吸いとる結晶/ガス状生物が出てくる。ホラーSF傑作選と銘打ったアンソロジー『影が行く』を編んだとき候補に入れたが、クラーク・アシュトン・スミスの傑作「ヨー・ヴォムヴィスの地下墓地」と似ているので落としたという経緯がある。(2013年6月23日)
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。