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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.07.08 Mon » 『時間内の旅』

【前書き】
 今月の20日ごろ、拙編の新しいアンソロジーが出る。題して『時を生きる種族――ファンタスティック時間SF傑作選』(創元SF文庫)。版元のサイトでは、書影も収録作も公開されているので、とりあえずこちらをご覧ください(と書いたあと、「編者あとがき」も版元サイトに掲載された)。
 すでに当方の手を離れていて、あとは刊行を待つばかりだが、せっかくの機会なので、収録作関連の記事を公開する。


 企画中の時間SFアンソロジーだが、あいかわらず作品選びをつづけている。というのも、編集部と話し合った結果、全篇「本邦初訳&単行本初収録」作品で固めることになったからだ。
 そのためロバート・A・ハインライン「輪廻の蛇」とロッド・サーリング「フライト33 時間の旅」を見送ることになり、代わりの作品を探しているのである。

 そういうわけでロバート・シルヴァーバーグ編の時間SFアンソロジー Trips in Time (1977) をとり寄せた。初版はトマス・ネルスンから出たハードカヴァーだが、当方が買ったのは2009年にワイルドサイド・プレスから出たトレード・ペーパー版である。

2012-12-19 (Trips)

 収録作はつぎのとおり。例によって発表年と推定枚数も添えておく――

1 限りなき夏  クリストファー・プリースト  '76 (55)
2 王様のご用命  ロバート・シェクリイ  '53 (30)
3 Manna  ピーター・フィリップス  '49 (75)
4 The Long Remembering  ポール・アンダースン  '57 (35)
5 過去を変えようとした男  フリッツ・ライバー  '58 (20)
6 聖なる狂気  ロジャー・ゼラズニイ  '66 (20)
7 マグワンプ4  ロバート・シルヴァーバーグ  '59 (55)
8 Secret Rider  マータ・ランドール  '76 (70)
9 宇宙シーソー  A・E・ヴァン・ヴォート  '41 (35)
 
 編者はアンソロジストとして定評があるが、文学的野心に満ちた創作とはちがって、SFファン気質をまるだしにするところに特色がある。本書もその例にもれず、じつに手堅いアンソロジーになっている。このまま訳したら、初心者向けのいい入門書になりそうだ。

 それはさておき、こちらの作品選びの話にもどすと、上記に加え、さらに無版権という条件がつくので、選択の対象となるのは3、4、5、7の4篇である。

 じつは7が意中の作品だった。ユーモアものがほしいところだったし、「輪廻の蛇」がラインナップからはずれたので、時間ループものが許されるようになったからだ。
 そこで原文で読みなおし、これは復活させる価値があると確信したので、当方のアンソロジーに収録することに決めた。既訳は浅倉さんの手になるものなので、なんの問題もない。
 
 4にも期待をかけていたのだが、こちらはいまひとつだった。過去の人間に精神を乗り移らせる形での時間旅行をあつかったもので、迷信に満ちみちた原始人の野蛮な生活が描かれる。とにかく、原始人に関するロマンティックな幻想を打ち砕くことを目的としており、読んでいてつらい。

 5は《改変戦争》シリーズに属すアイデア・ストーリー。語りのうまさで読ませる作品だが、これを復活させるよりは、同シリーズに属す未訳作品を採ったほうがいい。

 3は中世の修道院に出没する幽霊と時間旅行をからめた作品。前に読んでまったく面白くなかったので、今回は読みなおさなかった。

 というわけで、「マグワンプ4」を選べたのでよかった。(2012年12月19日)


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