2013.07.25 Thu » 『世界の果ての戦士』
リン・カーターの小説で真っ先に名前のあがるのは、英雄ゾンガーを主人公にした《レムリアン・サーガ》だろう。これは邦訳もされたが、私見ではこれと同等、あるいはそれ以上と思われる作品が未訳になっている。それが全5巻(あるいは6巻)から成る《ゴンドウェイン》シリーズだ。
もともとは Giant of World's End (Belmont, 1969) という単発長篇だったのだが、これが好評を博したので、作者は構想を練りなおし、5巻のシリーズに書きのばした。したがって、数え方によってシリーズが全5巻になったり全6巻になったりする。
〈剣と魔法〉に分類される作品だが、むしろ冒険SFに近い道具立てが本シリーズの特徴。なにしろ舞台は七億年先の超未来、地球最後の大陸ゴンドウェイン。主人公はその二億年前に作られた人造人間。しかもその使命は、月の落下を阻止することなのだ。
クラーク・アシュトン・スミスの《ゾシーク》シリーズを意識したのだろうが、大風呂敷を広げたものである。

第一作 The Warrior of World's End (DAW, 1974) はこんな話だ――
ひと組の男女がゴンドウェインの荒野を旅している。〈青い雨〉を避け、洞窟で雨宿りをするふたりの前に、ひとりの巨人が姿をあらわした。全裸で、記憶もなく、話すこともできないこの巨人は、まるで大きな赤ん坊だった。その後、この巨人はガネロンと名づけられ、夫婦の庇護のもと、ゼルミッシュの街で平和な日々を過ごす。
が、あるとき獣人族インディゴンが襲来。ガネロンは超人的な力で街を救い、一躍英雄となる。やがて隣国の女帝が、ガネロンを臣下にしようとするが、ガネロンはこれを嫌い、〈幻術師〉とともに街を脱出。このとき〈幻術師〉の口から、ガネロンの正体が明かされる。彼は、古代文明が未来の地球を救うために遺した人造人間だったのだ。
〈幻術師〉のもとで古代科学の驚異を学んだガネロンは、復活させた機械鳥に乗り、世界の危機に際して旅立つ。まずは地上に破滅をもたらす〈空の島〉を止めるために。
ガネロンは 空飛ぶ島で〈空の民〉と死闘をくり広げ、みごと〈死の機械〉を停止させ、世界に平和をよみがえらせる。だが、彼にはまだ大きな任務が残っていた。〈落下する月〉を食いとめるという任務が……。
明らかにエドガー・ライス・バローズの焼き直しだが、非常に楽しく読める。
ちなみに表紙絵は、宇宙船の絵で有名なヴィンセント・ディフェイトが担当している。意外。(2011年3月16日)
もともとは Giant of World's End (Belmont, 1969) という単発長篇だったのだが、これが好評を博したので、作者は構想を練りなおし、5巻のシリーズに書きのばした。したがって、数え方によってシリーズが全5巻になったり全6巻になったりする。
〈剣と魔法〉に分類される作品だが、むしろ冒険SFに近い道具立てが本シリーズの特徴。なにしろ舞台は七億年先の超未来、地球最後の大陸ゴンドウェイン。主人公はその二億年前に作られた人造人間。しかもその使命は、月の落下を阻止することなのだ。
クラーク・アシュトン・スミスの《ゾシーク》シリーズを意識したのだろうが、大風呂敷を広げたものである。

第一作 The Warrior of World's End (DAW, 1974) はこんな話だ――
ひと組の男女がゴンドウェインの荒野を旅している。〈青い雨〉を避け、洞窟で雨宿りをするふたりの前に、ひとりの巨人が姿をあらわした。全裸で、記憶もなく、話すこともできないこの巨人は、まるで大きな赤ん坊だった。その後、この巨人はガネロンと名づけられ、夫婦の庇護のもと、ゼルミッシュの街で平和な日々を過ごす。
が、あるとき獣人族インディゴンが襲来。ガネロンは超人的な力で街を救い、一躍英雄となる。やがて隣国の女帝が、ガネロンを臣下にしようとするが、ガネロンはこれを嫌い、〈幻術師〉とともに街を脱出。このとき〈幻術師〉の口から、ガネロンの正体が明かされる。彼は、古代文明が未来の地球を救うために遺した人造人間だったのだ。
〈幻術師〉のもとで古代科学の驚異を学んだガネロンは、復活させた機械鳥に乗り、世界の危機に際して旅立つ。まずは地上に破滅をもたらす〈空の島〉を止めるために。
ガネロンは 空飛ぶ島で〈空の民〉と死闘をくり広げ、みごと〈死の機械〉を停止させ、世界に平和をよみがえらせる。だが、彼にはまだ大きな任務が残っていた。〈落下する月〉を食いとめるという任務が……。
明らかにエドガー・ライス・バローズの焼き直しだが、非常に楽しく読める。
ちなみに表紙絵は、宇宙船の絵で有名なヴィンセント・ディフェイトが担当している。意外。(2011年3月16日)
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