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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.12.28 Fri » 『再分解』

【承前】
 ついでにアルフレッド・ベスターの作品集 Redmolished (ibooks, 2000) も紹介しておこう。初版はトレード・ペーパーバックだが、昨日も書いたとおり、当方が持っているのは4年後に出たマスマーケット・ペーパーバックである。

2010-9-29(Redemolished)

 これは文字どおり落ち穂拾い。1997年に Virtual Unrealities というベスター傑作集が出ており、そこに収録されなかった作品ばかりを集めているのだ。小説だけだと凡作集になってしまうので、エッセイなどのおまけを足している。要するにマニア向けで、ベスターをひと通り読んだ人でないと楽しめないかもしれない。

 編集にあたったのはリチャード・ラウチという人。本職はコンピュータ関係のジャーナリスト/編集者らしい。各セクションに解説を付すなど、丁寧な仕事ぶりである。

 全体は6部に分かれているので、簡単に説明しよう。

〈小説〉
 邦訳があるのは「地獄は永遠に」、「ジェットコースター」、「この世を離れて」、「アニマル・フェア」の4篇。残りは1940年代の凡庸なSF2篇、60年代に男性誌に載せたノンSF掌篇2篇、70年代の手すさび的なSF2篇(そのうち1篇は長篇『ゴーレム100』の原型)で、やや期待はずれ。

〈記事〉
 1960年代に〈ホリデイ〉誌の依頼で書いた科学解説3篇。ユーモアたっぷりで、けっこう面白い。

〈エッセイ〉
 SFや創作に関するエッセイ4篇。うち「SFとルネサンス人」は邦訳がある。ベスターとSFの愛憎なかばする関係が浮き彫りになり、非常に読み応えがある。私見では本書の白眉となるパート。

〈インタヴュー〉
 〈ホリデイ〉や〈パブリッシャーズ・ウィークリー〉の依頼でインタヴュアーを務めた仕事。一問一答形式ではなく、読み物的な文章に会話を織りこんでいる。インタヴューされているのは、ジョン・ヒューストン、レックス・スタウト、ウッディ・アレン、アイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインライン。

〈『破壊された男』削除されたプロローグ〉
 昨日のエントリ参照。

〈追悼文〉
 1987年版(刊行は89年)のネビュラ賞アンソロジーに載ったアイザック・アシモフによるベスター追悼文の再録。面白いのは、グレゴリイ・ベンフォードによるその序文も再録されていること。というのも、アシモフについていまさら説明の要はないからベスターについて書く、といってベンフォードもベスターのことばかり書いているのだ。アシモフの追悼文はすばらしい。こういうのを書かせると天下一品である。(2010年9月29日)

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