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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.04.25 Wed » ヴァンス自伝読了

【承前】

 ジャック・ヴァンスの自伝 This Is Me, Jack Vance! (2009) がヒューゴー賞関連書籍部門を受賞したそうだ。
 このめでたいニュースに接して、1年近く前に買ったきり放置してあった同書をあわてて読んだ。

 待望の自伝だが、期待した内容とはちょっとちがった。というのも、作家になるまでの生い立ちと、作家になったあと世界じゅうを旅した思い出話で大半が占められているからだ。創作の裏話のようなものはほとんどない。

 もっとも、内容は面白くて、これまで知られていなかったヴァンスの人となりがよくわかった。
 たとえば、戦時中に徴兵逃れで船員になったが、弱視という欠点がある。視力検査表を暗記して、とりあえず検査にはパスしたが、見張りに立っても役に立たない。何度も船をほかの船に衝突させそうになったという。
 で、見張りのときなにをしていたかというと、コルネットの練習をしていたというのだ。このスチャラカぶり。まるっきりキューゲルではないか。

 この調子で書いているときりがないので、最後にSFファン向けのエピソードを引用しておく。1952年ごろの話だ――

 〈サンタ・ローザ・プレス・デモクラット〉紙の記者がインタヴューにきて、記事が新聞に掲載されたとき、見出しはこうなっていた――「SF作家は空飛ぶ円盤の専門家だ!」
 もちろん、これはばかげていた。なにしろ、空飛ぶ円盤の話などまったくしなかったのだから。記者の名前はフランク・ハーバートといった。(2010年9月7日)



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