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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.11.20 Tue » 『F&SF誌30周年回顧』

【前書き】
 以下は2009年12月14日に書いた記事である。


 周知のとおり〈SFマガジン〉が50周年を迎え、めでたいかぎりだが、その先輩格にあたるアメリカのSF誌〈ザ・マガジン・オブ・ファンタシー&サイエンス・フィクション〉(以下〈F&SF〉と略)は、2009年に60周年を迎えた。とはいえ、長期低落傾向に歯止めがきかず、ついには隔月刊を余儀なくされるなどお寒い状況。景気が悪いのはこちらも同じなので、暗澹たる気分になってくる。

 それはともかく、60周年の半分、30周年を祝して編まれた〈F&SF〉の傑作集がある。エドワード・L・ファーマン編 The Magazine of Fantasy & Science Fiction: A 30 Year Retrospective (Doubleday, 1980) だ。

2009-12-14(F&SF)

 編者は当時の〈F&SF〉編集長で、同誌誕生の経緯を綴った序文を書いているが、それとはべつにアイザック・アシモフが前書きを寄せている。アシモフは同誌に永らく科学コラムを連載し、おそらく最多の登場回数を誇る人物である。
 〈F&SF〉の名物だった詩やひとコマ漫画が3作ずつ載っているが、煩雑になるので小説の収録作(と掲載号のデータ)だけあげると――

ごきげん目盛り  アルフレッド・ベスター '54-8
ニュースの時間です  シオドア・スタージョン '56-10
男と女  デーモン・ナイト '50, Spring
アルジャーノンに花束を  ダニエル・キイス '59-4
人アレ  ウォルター・M・ミラー・ジュニア '55-4 
ある晴れた日に  シャーリー・ジャクスン '55-1
男たちの知らない女  ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア '73-12
男と女から生まれたもの  リチャード・マシスン '50, Summer
ジェフティは五つ  ハーラン・エリスン '77-7
アララテの山  ゼナ・ヘンダースン '52-10
太陽踊り  ロバート・シルヴァーバーグ '69-6
The Gnurrs Come from the Voodvork Out  R・ブレットナー '50, Winter-Spring
録夢業  アイザック・アシモフ '55-12
哀れ小さき戦士  ブライアン・W・オールディス '58-4
追憶売ります  フィリップ・K・ディック '66-4
Selectra Six-Ten  アヴラム・デイヴィッドスン '70-10
創造性の問題  トマス・M・ディッシュ '67-4
聖者を訪ねて  アンソニー・バウチャー '59-10

 書き写しているだけ胸が躍るようなラインナップ。ちょっとしたSF名作集である。
 ただし、未訳の作品は、どちらも大したことがない。ブレットナーのほうはさっぱり記憶にないが、デイヴィッドスンのほうはしょーもない楽屋落ち。作家志望者と編集者の手紙を交互に並べ、SF的事件が浮かびあがってくるようにしたショートショートで、作者が元編集長でなければ選ばれなかった作品である。(2009年12月14日)

【追記】
 あとで知ったのだが、本書は〈F&SF〉30周年記念特大号(79年10月号)の書籍化だった。ただし、内容に多少のちがいがある。
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