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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.07.25 Wed » 『ドラブルⅡ――二重世紀』

 アーサー・C・クラークの短篇を全部読もうと思って、未訳の作品が載っているアンソロジーを2冊とり寄せた。そのうちの1冊は前に紹介したが、残る1冊がロブ・ミーズ&デイヴィッド・B・ウェイク編の Drabble Ⅱ: Double Century (Beccon, 1990) だ。ファン出版の小型ハードカヴァーである。

2009-12-1 (dorabul)

 ドラブルというのは、モンティ・パイソンの造語を冠した新形式の文芸。100語きっかりで書かれた超ショートショートのことである。邦訳したら400字詰め原稿用紙1枚に満たない短さだ。

 もともとはイギリスのSFファンふたりが思いついて、十数編を集めたファンジンを作ろうと思ったのだが、話を聞いた者たちがわれもわれもと参加を希望して、百篇を集めた本にふくれあがった。しかも、寄稿者にはブライアン・オールディス、アイザック・アシモフなどの著名作家も多数ふくまれていた。
 1988年に出た第一集が好評で、2年後に出た続篇が本書というわけだ。限定1000部のうち941番の通し番号がはいっている。

 面白いのは、チャリティを目的にしていること。収益は盲人のための読書プログラムに寄付される。したがって原稿料はなく、現物が一部支給されるのみ。それでもロジャー・ゼラズニイ、ブルース・スターリング、C・J・チェリイなど、錚々たる面々が顔をそろえている。

 クラークが寄せたのは “Tales from the “White Hart”, 1990: The Jet-Propelled Time Machine” と題された1篇。《白鹿亭綺譚》の新作なので、ひょっとしてハヤカワ文庫版《ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク》に使えないかと思ったのだが、そういうわけにはいかなかった。
 
蛇足。掲題の「二重世紀」は無理やりの直訳。本来は「2×100」の意味だが、それだと面白くないので、わざとこうした。(2009年12月1日)

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