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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.06.10 Mon » 『人喰い鬼の伝記』

【前書き】
 このたび転居しました。ようやく身辺が落ち着いたので、ブログを再開します。心機一転といきたいところですが、〈SF作家の自伝〉シリーズが途中だったので、そのつづきからはじめます。なんだか締まらない話ですが、気にしないで行きましょう。それでは、今後ともよろしく。


 〈SF作家の自伝〉シリーズ。第3弾はピアズ・アンソニーの Bio of An Ogre (Ace, 1988) だ。ただし、当方が持っているのは、例によって翌年に同社から出たペーパーバック版だが。

2009-9-23(Bio of)

 なにしろ大ヒット作《魔法の国ザンス》シリーズの人なので、その1冊と見まがうような表紙絵がついている。表題の人喰い鬼とはアンソニー自身のこと。怒りっぽくて執念深い性格は自覚しているらしい。じっさい、かなりのトラブル・メーカーぶりである(もっとも、長いものに巻かれない性格ゆえで、かならずしもアンソニーが悪いわけではないようだが)。
 
 アンソニーは1934年生まれで、50歳までの半生を回顧したのが本書。けっこう波瀾万丈の生い立ちで、幼少のころはいじめられ通しだったという。その恨みつらみが克明に書かれているのがすごい。
 恨み節はさらにつづくが、圧巻はアメリカSF作家協会の大物(ロバート・シルヴァーバーグ!)や編集者をこきおろした部分。それでもユーモアを忘れないので、読んでいていやな気分にならないところはさすが。

 印象的なエピソードをひとつ。
 アンソニーの両親は内乱の渦中にあったスペインで救援活動に従事していた。1940年に父親がフランコ政権に逮捕され、国外退去を命じられた。アメリカへわたる航海中、ピアズ少年は6歳の誕生日を迎えた。おりからの物資不足で、テーブルに出されたのはおが屑でできたケーキ――
「砂糖衣で綺麗におおわれ、蝋燭が燃えていたのを憶えている。だが、いざ切り分けようとすると、みんなが変な顔をして、ケーキを持ち去った。そのときはどうしてか分からなかった。……ある意味で、あのケーキはわたしの幼年期を象徴しているように思える。しっかりした土台が、じつはおが屑でできていると分かってしまったのだ」

 ところで、人喰い鬼には「受けた恩義を忘れない」面もあることをアンソニーの名誉のために申し添えておこう。(2009年9月23日)

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