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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.12.30 Sun » 『ユニコーン・ヴァリエーション』

 先日とりあげた『ガニメデのクリスマス』というアンソロジーは、ジェイムズ・ウォーホラという画家の表紙絵が楽しかった。似たような感じの絵のついた本があった気がしたので書棚を探ったら、ロジャー・ゼラズニイの短篇集 Unicorn Variations (1983) が出てきた。初版はサイモン&シュスターから出たハードカヴァーだが、当方が持っているのは1987年にエイヴォンから出たペーパーバック版である。もちろん、画家はウォーホラだ。

2011-12-17(Unicorn Variations)

 これはゼラズニイの第三短篇集で、小説20篇、エッセイ2篇を集めている。各篇に、その作品がどのように生まれたかを語る作者のコメント付き。

 作品数を見れば察しがつくように、邦訳して5枚から20枚の小品が大半で、正直いって落ち穂拾いの感は否めない。じっさい、ファンジン掲載作やら、最初期の習作が大量に混じっている。それらを列挙しても仕方がないので、邦訳がある作品だけ題名をあげると――

「ユニコーン・ヴァリエーション」、「けものたち滅ぶとき」、「ハングマンの帰還」、「最良の年」、「ジョージ稼業」

 となる(このほか、ファンジンにのみ邦訳の掲載された作品が、当方の知るかぎり3篇ある)。

 さすがにいい作品がならぶが、ほかの収録作にこの水準を求めないこと。あと邦訳する価値があるのは“The Horse of Lir” (1981) という短篇くらい。
 ネス湖の怪獣のようなシーサーペントの世話に代々たずさわってきた一族にまつわる話で、淡々とした筆致が寂寥感と畏怖をかもしだす。ホラーとかファンタシーというよりは、伝奇譚という言葉が似合いそうな一篇。

 ウォーホラの表紙絵は、表題作を題材にしたものだが、雰囲気がよく出ている。主人公と黒いユニコーンは、人類の存亡を賭けてチェスをさしているのだ。さびれた田舎の酒場で、妖怪たちに見守られながら、のんびりと。(2011年12月17日)


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