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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.08.28 Tue » 『マンリー・ウェイド・ウェルマン――チャペル・ヒルの紳士』

 ひとつ前の記事でウェルマンの《ホク》シリーズは全部で5篇(と断片1篇)と書いた。本当にそうなのか気になって、ウェルマンの書誌を引っぱりだしてみた。フィル・スティーヴンセン=ペイン&ゴードン・ベンスン・ジュニア編の Manley Wade Wellman: The Gentleman from Chapel Hill (Galactic Central) だ。

2009-3-5 (Wellman)

 おなじみ、《熱心な読者のための書誌》シリーズの1冊。ホチキス製本、本文86ページの薄っぺらい小冊子で、ISBNはついているが、刊行年は不明。表紙に改訂第三版と記されている。

 で、リストを眺めていたら、“The Love of Oloana” という作品があることがわかった。1986年に出た〈パルス・パウンディング・アドヴェンチャー・ストーリーズ#1〉に掲載と書いてある。
 オロアナというのは、ホクの恋女房なので、これはシリーズに属す作品ではないだろうか。だが、《ホク》シリーズの新作だとしたらワグナーが解説に書きもらすはずがない。解説執筆から本(Echoes of Valor Ⅱ)の刊行(1989年)までのあいだに書かれたとも考えにくい。なぜなら、ウェルマンは1986年の4月5日に亡くなっているからだ。となると、旧作の蔵出しということになるが、はたして真相はいかに。

 と、推理して悦に入っていたら、あっさりと真相がわかった。やはり《ホク》シリーズの1篇が収録されている Echoes of Valor Ⅲ (1991) をのぞいてみたら、ワグナーがちゃんと解説でこの作品のことに触れていたのだ。この文章はむかし読んだはずだが、内容はさっぱり忘れていた。情けないったらありゃあしない。

 ワグナーによると、問題の作品は1935年に《ホク》シリーズ第一作として書かれたが、〈スパイシー=アドヴェンチャー・ストーリーズ〉という雑誌に没をくらい、そのままお蔵入りになっていたのだという。

 ところで、前述のとおり、《ホク》シリーズは1939年から42年にかけて5篇発表されたのだが、そのうちの3篇が、直後にスウェーデン語に翻訳されていることがわかった。いずれも〈ジュール・ヴェルヌ・マガジン〉に掲載されたもので、1941年から42年にかけてのことである。
 さらにそのうちの1篇は、フィンランド語に翻訳されて、Mustan Jumalan Suudelma (1993) という単行本に収録されていることも判明。
 このあたりの事情についてご存じの方がいらしたら、ぜひともご教示願いたい。(2009年3月5日)

【追記】
 その後《ホク》シリーズを1冊にまとめた本が出た。Battle in the Dawn : The Complete Hok the Mighty (Pazizo Pub., 2011) である。
 今回《ホク》シリーズに関する記事を公開するにあたって、念のため調べものをしていたら、同書の存在に気づき、あわてて注文した。いま本が届くのを楽しみに待っているところ。同書については、そのうち報告できるだろう。

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