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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.04.16 Tue » 『仰天』

 アルフレッド・ベスターの短篇“Something Up There Likes Me”は、最初ハリイ・ハリスンが編んだオリジナル・アンソロジーで読んだ。Astounding: John W. Campbell Memorial Anthology (Random House, 1973) である。ただし、当方が持っているのは翌年バランタインから出たペーパーバック版だが。

2009-2-12 (Ast)

 題名でおわかりのとおり、1971年に亡くなった〈アスタウンディング/アナログ〉の名物編集長ジョン・W・キャンベルの追悼企画。この種のトリビュート・アンソロジーとしては、SF界ではこれが嚆矢だったのではないだろうか。
 ちなみにハリスンは、キャンベルが〈アナログ〉の編集長を譲ろうと考えたこともある人物で、キャンベルの編集前記の傑作選も編んでいる。当を得た人選といえるだろう。
 
 表紙絵は、ロック・バンドのクィーンがこれを修正したものをアルバム『世界に捧ぐ』のジャケットに使ったので、ものすごく有名だが、もともとは〈アスタウンディング〉1953年10月号の表紙を飾ったもの。画家は当時の新鋭ケリー・フリースである。フリースは本書に描きおろしのイラストを作品毎に寄せているが、スキャナーが不調でご覧にいれられない。残念。

 なにしろ、1940年代に主要なSF作家を育てあげた人だけあって、執筆陣は豪華。しかも、多くの者がキャンベルとの思い出を語った前書きを寄せ、キャンベルとゆかりの深いシリーズものの新作を書き下ろすという形になっている。こういう内容だ――

Introduction: The Father of Science Fiction  アイザック・アシモフ
Lodestar  ポール・アンダースン  《宇宙商人ニコラス・ヴァン・リーン》
「チオチモリン、星へ行く」 アイザック・アシモフ  《チオチモリン》
Something Up There Likes Me  アルフレッド・ベスター
Lecture Demonstration  ハル・クレメント  《メスクリン》
Early Bird  シオドア・R・コグスウェル&シオドア・L・トーマス  《カート・ディクスン》
The Emperor's Fan  L・スプレイグ・ディ・キャンプ  《ノヴァリア》
「兄弟たち」 ゴードン・R・ディクスン  《ドルセイ》
The Mothballed Spaceship  ハリイ・ハリスン  《死の世界》
Black Sheep Astray  マック・レナルズ
「終章」 クリフォード・D・シマック  《都市》
Interlude  ジョージ・O・スミス  《金星等辺中継ステーション》
「ヘリックス・ザ・キャット」 シオドア・スタージョン 
Probability Zero: The Population Implosion  シオドア・R・コグスウェル

 スタージョンの作品は、30年近く前キャンベルに没にされたものの蔵出し。最後の作品は、かつての〈アスタウンディング〉に「蓋然性ゼロ」と題するショート・ショートのコーナーがあったのを再現したものだそうだ。

 先に「執筆陣は豪華」と書いたが、わが国ではマイナーな名前がけっこう混じっている。このあたり、彼我の評価の差であろう(マック・レナルズなど最たる例で、アチラではSF史をひもとけば必ず出てくる名前だが、コチラでの知名度は非常に低い)。
 もっとも、ロバート・A・ハインラインやA・E・ヴァン・ヴォートの名前がないので、オールスターといえないのはたしかだが。(2009年2月12日)

【追記】
 アルフレッド・ベスター関連で書いた記事(こちらを参照)だが、今回はケリー・フリースつながりで公開した。

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