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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.11.23 Fri » 『未知五篇』

【承前】
 雑誌〈アンノウン〉の傑作選 The Unknown (1963) が好評だったらしく、すぐに続編が出た。同じD・R・ベンセン編の The Unknown Five (Pyramid, 1964) である。ただし、当方が持っているのは1978年に出たジョーヴ/HBJ版だが。

2009-2-9 (Unknown 5)

 この本もエド・カーティアのイラストを再録して売りにしているが、もうひとりジョン・ショーンハーのイラストを(描きおろしで!)収録している。ふたりの名前が表紙に載っているのに注意されたい(ただし、この版の表紙絵は、ロウィーナ・モリスの筆になるもの)。

 ショーンハーは〈アスタウンディング/アナログ〉の黄金期を支えた名イラストレーター。表紙を75回も描いていて、ヒューゴー賞も受賞した人である。
 たぶんフランク・ハーバートの《デューン》シリーズを題材にした一連のイラストがいちばん有名だと思う。サンドワームがすごい迫力で、ポスターやカレンダーにもなっているので、どこかでご覧になったことがおありだろう。画家の名前を知らなくても、絵を見れば、ああ、あれかと思われるのではないか。
 わが国であまり知られていないのは、SF界に見切りをつけて去っていったからかもしれない。1968年のことだが、この時点では描きおろしに応じてくれたわけだ。白黒のペン画は、カラーのスーパーリアルタッチとは趣がちがうが、これはこれですばらしい。

 話を本にもどそう。例によって目次を書き写しておく――

著者よ! 著者よ! アイザック・アシモフ
The Bargain クリーヴ・カートミル
The Hag S`eleen シオドア・スタージョン * `e は本当はアクサン
地獄は永遠に アルフレッド・ベスター
The Crest of the Wave ジェーン・ライス

 アシモフの作品は、じつは〈アンノウン〉に載っておらず、本書が初出。裏話が面白い。
 姉妹誌〈アスタウンディング〉の常連だったアシモフは、なんとか〈アンノウン〉にも小説を載せたいと思っていた。が、ファンタシーは苦手でキャンベル編集長のお眼鏡にかなう作品を書けなかった。6度めの挑戦でようやく採用されたが、掲載される前に雑誌が休刊となり、以来お蔵入りとなっていた。それが20年ぶりに陽の目を見ることになったのだという。
 まあ、アシモフの初期作品集『母なる地球』(ハヤカワ文庫SF)を読んだ人は、とっくにご存じだろうが。

 ベスターの作品は、当方が訳して作品集『願い星、叶い星』(河出書房新社)に入れた。最初はこれをテキストにして翻訳したのだが、あとで短篇集に収録されているヴァージョンを見たら、かなり手がはいっていて、どう考えても後者のほうが出来がいいので、そちらに合わせて翻訳を直したという経緯がある。
 
 未訳の3篇は、スタージョンの作品もふくめていまひとつ。当時は斬新だったのだろうが、いまとなっては古くさいタイプの怪奇小説である。

おまけ
 カートミル作品に付されたカーティアのイラスト。

2009-2-9 (Unknown 3)

「地獄は永遠に」に付されたショーンハーのイラスト。

2009-2-9 (Unknown 2)

(2009年2月9日)

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