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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.07.21 Sat » 『インド洋の財宝』

【承前】
 マイク・ウィルスンの沈没船探しでは、初期段階で少年ふたりが大活躍した。そのせいかどうかは知らないが、The Treasure of the Great Reef を青少年向けにした本が出ている。それが Indian Ocean Treasure (Harper & Row, 1964) だ。
 大人向けよりひとまわり大きく、ひとまわり薄い本になっている。ちなみに、これも図書館の廃棄本。

2011-10-21(Treasure)

 簡単にいうと、The Treasure of the Great Reef を半分ほどにちぢめ、一部の文章を書きあらためたもの。レイアウトがちがい、数えまちがいでなければ、写真は48枚が収録されている。

 すでに書いたように、1961年の遠征ではふたりの少年が活躍した。ボビー・クリーゲル(14歳)とマーク・スミス(13歳)で、ふたりともスリランカ在住アメリカ人の子弟である。
 上掲の表紙写真は、引き揚げた銀貨のかたまりと小型の大砲(いわゆる旋回砲)をふたりが調べているところ。向かって右側がボビー、左側がマークである。

 クラーク流にいえば、ふたりは「実質的に両棲類」であり、卓越したダイヴァーだった。その実力を見こまれて、ウィルスン製作の水中映画に出演することになり、グレート・バセスに赴いて、たまたま沈没船の遺物に遭遇したのだった。

 マークの日記を読んだクラークが、たいそう感銘を受けて、それを引用している。面白いので紹介しよう――

「先日わたしは、この遠征に関するマーク・スミスの日記にぶつかった。簡潔すぎて、もどかしいほどなので、全文を引用したくなる。最初の記述はたったのこれだけ――『1961年3月12日。到着』」
 
 クラークによれば、このそっけない記述の裏には、椰子の木にふちどられたセイロンの南西岸――世界でも指折りの絶景――を175マイルにわたってドライヴし、アウトリガー型ボートが浜にならぶ漁村をいくつも通り過ぎ、場合によっては象に出会えるジャングルのわきを通ってキリンダという漁村にたどり着き、そこで船に乗り換えて荒波を越え、絶海の岩礁にそびえる灯台へいたった旅程が潜んでいるのだという。
 言葉を惜しむのもほどがある!(2011年10月21日)

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