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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.06.19 Wed » 『ロバート・E・ハワードの恐怖小説』

【承前】
 ロバート・E・ハワードのホラー短篇集としては、決定的な本が簡単に手にはいる。ハワード研究の第一人者ラスティ・バークの肝いりで出た The Horror Stories of Robert E. Howard (Del Rey, 2008) だ。

2011-10-6(The Best Horror)

 これは同社から刊行されているイラスト入り叢書の一冊で、ジョージ・ステープルズという人の美麗イラストが全篇に配されている。これを見るだけでも価値があるが、内容のほうも文句なし。ハワードの秀作ホラーはほとんど網羅されており、この本を持っていればワイルドサイド・プレスで出た同種の本は無理して買う必要がない。

 大判トレードペーパー約530ページに小説36篇、詩14篇、付録として未完の草稿4篇が収録されている。そのうち邦訳があるのはつぎのとおり(追記参照)――

小説……「密林の人狼」、「夢の蛇」、「獣の影」、「死霊の丘」、「われ埋葬にあたわず」、「夜の末裔」、「黒の碑」、「屋上の怪物」、「吸血鬼の墓」、「闇の種族」、「鬼神の鬼塚」、「大地の妖蛆」、「闇に待つ顎」、「悪霊の館」、「老ガーフィールドの心臓」、「ブードゥー教の半魚人」、「鳩は地獄から来る」、「死人は憶えている」「アッシュールバニパル王の火の石」
詩……「顕ける窓より」、「断章」

 通常ヒロイック・ファンタシーに分類される《ソロモン・ケイン》シリーズや《ブラン・マク・モーン》シリーズからも作品を採っているのが特徴。

 さすがにめぼしいところは邦訳があり、未訳のものでこれぞという作品は、ボクシング小説仕立ての幽霊譚“The Spirit of Tom Molyneaux”くらい。
 だが、残りの作品もハワード・ファンとしては読んでおきたい。というのも、それぞれがビアス風だったり、ラヴクラフト風だったり、ミステリ仕立てだったり、ウェスタン仕立てだったりと、ハワードの試行錯誤の跡が見えるからだ。

 さて、本書の内容に文句はないが、たとえば昨日紹介した“The People of the Black Coast”のような珍品は入っていない。ハワードの世界は意外に奥が深いのである。(2011年10月6日)

【追記】
 のちに創刊された「ホラー&ダーク・ファンタジー専門誌〈」ナイトランド〉が、本書から採った作品をステープルズのイラストとともに掲載してくれた。順に「矮人族」(創刊号)、「失われた者たちの谷」(2号)、「墓所の怪事件」(4号)である。




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