2013.03.25 Mon » 『夜の怪物たち』
【承前】
Night Monsters (Gollancz, 1974) はイギリスで出たホラー寄りの短篇集。もっとも、当方が持っているのは、例によって75年にパンサーから出たペーパーバック版だが。

69年にアメリカで同名の短篇集がエース・ダブルの片面として出ているが、それとは別ものと考えたほうがいい(アメリカ版は4篇収録で、そのうち3篇が本書と共通。イギリス版をたんなる増補版と見るか、べつの本と見るかは書誌によって判断が分かれている)。
内容はつぎのとおり。アステリスクの付いているのが、アメリカ版と共通する作品だ――
The Black Gondolier *
鏡の世界の午前0時 *
ジェフを探して *
The Creature from Cleveland Depths
歴戦の勇士 《改変戦争》
飢えた目の女
闇の世界
ライバー入門ホラー篇としては、まずまずの短篇集だ。
はじめて出てきた“The Black Gondlier”の説明をしておくと、邦訳のある「電気と仲よくした男」の電気を石油に変えたような作品。つまり、石油は意思を持つ生きもので、人知れず人間に害をなしているという妄想にとり憑かれた男の話だ。もちろん、それが妄想なのか現実なのか判然としないようになっている。
舞台はロサンジェルスに実在するヴェニスという街。イタリアのヴェネチアを模して造られた運河の街で、観光客をあてこんでいたが、いまやすっかりさびれた場所である(ブラッドベリもよくこの街をとりあげる)。男はこの街に住んでいて、謎めいた黒いゴンドラ船頭を夢に見るのである。
ライバーとしては水準作。「闇の世界」、「歴戦の勇士」、「鏡の世界の午前0時」についてはすでに見送った理由を書いた。そういうわけで、本書から当 方の編む傑作集に採る作品はなかった。(2008年3月9日)
【追記】
アステリスクで思いだしたが、《改変戦争》シリーズでは、時空の覇権を争っている二大勢力の片割れ、スパイダーの象徴がアステリスクであり、構成員は「*」の紋章を額に刻んでいることがある。なるほど、蜘蛛に見える。以上、まったくの余談。
Night Monsters (Gollancz, 1974) はイギリスで出たホラー寄りの短篇集。もっとも、当方が持っているのは、例によって75年にパンサーから出たペーパーバック版だが。

69年にアメリカで同名の短篇集がエース・ダブルの片面として出ているが、それとは別ものと考えたほうがいい(アメリカ版は4篇収録で、そのうち3篇が本書と共通。イギリス版をたんなる増補版と見るか、べつの本と見るかは書誌によって判断が分かれている)。
内容はつぎのとおり。アステリスクの付いているのが、アメリカ版と共通する作品だ――
The Black Gondolier *
鏡の世界の午前0時 *
ジェフを探して *
The Creature from Cleveland Depths
歴戦の勇士 《改変戦争》
飢えた目の女
闇の世界
ライバー入門ホラー篇としては、まずまずの短篇集だ。
はじめて出てきた“The Black Gondlier”の説明をしておくと、邦訳のある「電気と仲よくした男」の電気を石油に変えたような作品。つまり、石油は意思を持つ生きもので、人知れず人間に害をなしているという妄想にとり憑かれた男の話だ。もちろん、それが妄想なのか現実なのか判然としないようになっている。
舞台はロサンジェルスに実在するヴェニスという街。イタリアのヴェネチアを模して造られた運河の街で、観光客をあてこんでいたが、いまやすっかりさびれた場所である(ブラッドベリもよくこの街をとりあげる)。男はこの街に住んでいて、謎めいた黒いゴンドラ船頭を夢に見るのである。
ライバーとしては水準作。「闇の世界」、「歴戦の勇士」、「鏡の世界の午前0時」についてはすでに見送った理由を書いた。そういうわけで、本書から当 方の編む傑作集に採る作品はなかった。(2008年3月9日)
【追記】
アステリスクで思いだしたが、《改変戦争》シリーズでは、時空の覇権を争っている二大勢力の片割れ、スパイダーの象徴がアステリスクであり、構成員は「*」の紋章を額に刻んでいることがある。なるほど、蜘蛛に見える。以上、まったくの余談。
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