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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.06.17 Mon » 『闇のなかの踏み分け道』

 必要があってロバート・E・ハワードの短篇集 Trails in Darkness (Baen, 1996) を引っ張りだしてきた。

2011-10-4(Trail)

 《ザ・ロバート・E・ハワード・ライブラリ》と銘打たれた叢書の第6弾。第4弾に当たる本のことは、以前この記事でとりあげた。そちらと同じく、S・M・スターリングが短い序文を寄せている。ちなみに表紙絵はC・W・ケリー。

 この本のコンセプトは明確で、「北米を舞台にしたハワードの怪奇小説」ばかりを集めている。全部で10篇が収録されているが、そのうち邦訳があるのは「死人は憶えている」、「ブードゥー教の半魚人」、「闇に待つ顎」、「吸血鬼の墓」の4篇である(追記参照)。

 “Kelly the Conjure-Man”という小品が、ブードゥー教の呪術師を題材にしたノンフィクションであるのをべつにすれば、残りはだいたい邦訳がある作品と同工異曲で、それらより一枚落ちる作品。つまり、西部劇と怪奇小説の合体やら、南部の沼沢地に巣食うブードゥー教の恐怖を描いた作品である。

 そのなかでちょっと面白いのが、“The Valley of the Lost” という短篇。
 西部の荒野を舞台に、ふたつの家族が血で血を洗う抗争をくり広げている。片方は主人公を残すだけとなり、その主人公もついには先住民が忌み嫌う谷へ逃げこむはめになり……と典型的なウェスタン風にはじまるのだが、主人公が洞窟へはいりこんだところで急転直下。なんと、この谷間の地下には、はるかむかし地中へ逃げこみ、いまは退化をとげた矮人族が住んでいたのだ、とアーサー・マッケンばりの怪奇小説になるのだ。
 「ディセント」というろくでもない映画があったが、あれの先駆けだと思ってもらっていい。出来のほうはともかく、ハワードの想像力の本質を生の形で見せてくれる作品といえる。
 
 ところで、この本を引っぱりだした理由は、年末ぐらいに明らかにできるかもしれない。乞御期待。(2011年10月4日)

【追記】
 この後、“The Valley of the Lost”が、「失われた者たちの谷」の題名で「ホラー&ダーク・ファンタジー専門誌」を標榜する〈ナイトランド〉2号(2012)に掲載された。ただし、不幸な事故があって、不完全な形で世に出てしまった。その詳細については、こちらの記事を参照していただきたい。

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