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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.03.13 Wed » 『フリッツ・ライバーの書』

【承前】
 またしてもライバーの自選集で、 The Book of Fritz Leiber (DAW, 1974) を紹介する。

2008-2-27(Book of)

 版元はエースを辞めた名編集者ドナルド・A・ウォルハイムが1972年に設立した会社。自分の名前を冠しただけあって、初期は非常に意欲的な本を刊行していた。DAWにとって初のライバー本となった本書は、「著者の多彩な才能を集約する」という方針で編まれており、たいへんユニークな造りになっている。
 というのも、SF、ホラー、〈剣と魔法〉をとりそろえた上、小説のあいだにノンフィクション(エッセイ、科学解説、書評など)を挟む構成になっているのだ。たとえば、宇宙を舞台にしたハードSFのつぎには「熱」に関する科学解説が、師匠H・P・ラヴクラフトにオマージュを捧げたホラーのつぎには、師匠の作品を論じたエッセイが、《ファファード&グレイ・マウザー》シリーズのつぎにはE・R・エディスンとR・E・ハワードの作品をとりあげた書評が来るといった具合だ。

 小説10篇(うち書き下ろし2篇)とノンフィクション9篇(うち書き下ろし1篇)が収録されているが、後者はすべて未訳だし、煩雑になるので小説だけ題名をならべる――

幻影の蜘蛛
A Hitch in Space
幼稚園
Crazy Annaoj
神々の最期
過去ふたたび
Knight to Move  *《改変戦争》
アーカムそして星の世界へ
Beauty and the Stars  *《ファファード&グレイ・マウザー》書き下ろし
猫たちの揺りかご  *《ガミッチ》書き下ろし

 集中ベストは、もっとも早い時期にクローン人間を題材にした「過去ふたたび」だろう。ライバー自身もマイ・フェイヴァリットのひとつにあげているし、当方も個人的に愛着のある作品だが、ちょっと古びた感は否めない。というわけで当方の編む傑作集には、《ガミッチ》もの第三作「猫たちの揺りかご」をとることにした。

 蛇足。表紙絵はジョージ・バーが担当しており、魅力的な猫型異星人女性を描いている。当然これは『放浪惑星』のヒロイン、タイガリシュカだろう。彼女はスフィンクスという名前で「猫たちの揺りかご」出演しているのだ。(2008年2月27日)


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