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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.03.12 Tue » 『人知れぬ歌』

【承前】
 つぎはイギリスで最初に出たライバー作品集 The Secret Songs (Rupert Hart-Davis, 1968) だ。ただし、当方が持っているのは、例によって75年にパンサーから刊行されたペーパーバック版だが。

2008-2-26(Secret)

 収録作は11篇と小ぶりだが、秀作ばかりを集めており、ライバー入門としては非常にいい選集になっている。序文はジュディス・メリル。
 目次を書き写すと――

冬の蝿
電気と仲よくした男
ラン・チチ・チチ・タン
マリアーナ
性的魅力
緑の月
バケツ一杯の空気
煙のお化け
飢えた目の女
No Great Magic
人知れぬ歌

 集中ベストは筒井康隆も絶賛した前衛劇風の「冬の蝿」。67年に発表されたが、メリルによると、驚くべきことに59年に書かれ、いったんは〈エスクァイア〉に売れたが、掲載されずに終わったのだという。ライバーがニュー・ウェーヴを先取りしていたことがよくわかる。
 次点は未訳の“No Great Magic” 。《改変戦争》シリーズ中の1篇で、あるシェイクスピア劇団の興行を背景に宇宙的/歴史的事件が描かれる。最初は五里霧中だが、徐々に事件の全貌が見えてくる構成がみごと。ただし、シェイクスピア演劇とエリザベス朝イギリスに関する知識が要求される。未訳なので採りたかったが、120枚と長めだし、収録は見送ることにした。この時点で《改変戦争》シリーズはすべて除外することに決定。

 そういうわけで、当方の編む傑作集には「冬の蝿」を採ることにする。(2008年2月26日)

【追記】
 上記「冬の蠅」は、無事に『跳躍者の時空』(河出書房新社、2010)に収録された。

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