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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.09.10 Mon » 『エドモンド・ハミルトン傑作集』

 せっかくなので The Best of Edmond Hamilton (1977) の紹介をしておく。昨日も書いたとおり、当方が持っているのはバランタイン/デル・レイから出たパーパーバック版だ。

2007-12-17(Hamilton)

 編者は夫人のリイ・ブラケットで、力のこもった序文を寄せている。ハミルトン自身はあとがきを書いている。どちらも回想が中心で、じつに興味深い。

 収録作は21篇。主要な短篇が年代順にならべられている。邦訳があるのはつぎの18篇――

「マムルスの邪神」「進化した男」「星々の轟き」「帰ってきた男」「呪われた銀河」「世界のたそがれに」「風の子供」「異星からの種」「フェッセンデンの宇宙」「翼を持つ男」「追放者」「審判の日」「異境の大地」「向こうはどんなところだい?」「レクイエム」「審判のあとで」「プロ」「漂流者」

 未訳が3篇あるが、いずれも邦訳する値打ちはない。2篇は凡作。残る1篇は宇宙小説の形で植民地主義や人種差別を批判したメッセージ色の濃い作品。心意気は買いたいが、いまとなっては稚拙なところが目立つ。

 意外なことに「反対進化」「ベムがいっぱい」「未来を見た男」「世界の外のはたごや」といったあたりが漏れている。ブラケットの趣味なのだろうが、やはり日本人の好みとは微妙にちがうことがわかる。

 安田均編のハミルトン傑作集『星々の轟き』(青心社)は、収録作のすべてをこの本から採っていることにお気づきだろう。そのことを知ったとき、ずいぶん安易に思えたものだ。

 したがってハミルトン傑作集を編むとき、当方はなるべく本書以外のところから作品を選ぶようにした(追記参照)。参考までに作品名をあげておく――

『フェッセンデンの宇宙』(河出書房新社)では「凶運の彗星」「太陽の炎」「夢見る者の世界」と9篇中3篇。
『反対進化』(創元SF文庫)では「アンタレスの星のもとに」「ウリオスの復讐」「反対進化」「失われた火星の秘宝」「超ウラン元素」と10篇中5篇。
『眠れる人の島』(同前)では「蛇の女神」「眠れる人の島」「神々の黄昏」「邪眼の家」「生命の湖」と5篇全作。

 作品を選ぶさい、どれだけ手間暇をかけたか、わかってもらえるだろうか。(2007年12月17日)

【追記】
 文庫版『フェッセンデンの宇宙』でも「世界の外のはたごや」と「フェッセンデンの宇宙(1950年版)」は本書以外のところから採った。

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