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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.09.09 Sun » 透明短篇

 昨日とりあげた「エリュクスの壁のなかで」という短篇は、若きスターリングが〈ウィアード・テールズ〉に載ったある小説に刺激を受けて書いた原稿をラヴクラフトが全面的に書き改めたものだという。
 その霊感源となった作品が、エドモンド・ハミルトンのデビュー作「マムルスの邪神」である。同誌1926年8月号に掲載されたものだが、スターリングは同誌35年9月号に再録されたものを読んだらしい。

 北アフリカの砂漠を舞台に、透明な蜘蛛のような怪物の棲む都市の廃墟に迷いこんだ探険家の冒険を描いたもので、ハミルトンが私淑するA・メリットの亜流ともいうべき作品。記念すべきデビュー作なので、当方が編んだハミルトン傑作集のどれかに入れようかと思ったが、読み直したら凡作だったので断念した。おっと、これは余談だったか。

 さて、透明怪物が出てくるせいか、この短篇自体が透明になってしまったことがある。リイ・ブラケットが編んだ傑作集 The Best of Edmond Hamilton (Doubleday, 1977) のペーパーバック版が同年バランタイン/デル・レイから出たとき、目次から漏れてしまったのだ。

2007-12-16(invisible 2)

 上に掲げた画像が目次。ブラケットの序文のつぎは「進化した男」という作品が17ページからはじまっていることになっている。
 ところが下の画像を見ればわかるとおり、「マムルスの邪神」が1ページからはじまっているのだ。

2007-12-16(invisible 1)

 インターネットの一部には、「マムルスの邪神」を欠落させた同書の書誌情報が出まわっているが、この目次をそのまま写したからだろう。現物にあたることの必要性をあらためて痛感するのであった。(2007年12月16日)


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