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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.12.23 Sun » 『怪物たち』

 またか、とお思いでしょうが、『千の脚を持つ男』関連の話。こんどは、あまりに参考にならなかった本のことを書く。

 アイザック・アシモフ、マーティン・H・グリーンバーグ&チャールズ・ウォーの三人組が、SFやミステリのアンソロジーを大量生産していたことは、どなたもご存じだろう。そのうちの一冊が Monsters (Signet, 1988) だ。《アイザック・アシモフの素晴らしきSFの世界》と題されたシリーズの第8巻ということになっている。

2007-11-11(Monsters)

 題名の通り、モンスターの出てくるSFを集めたもの。例によって目次を書き写すと――

第1部。彼らはここで見つかった……
 憑きもの  ロバート・シルヴァーバーグ
 The Botticelli Horror  ロイド・ビッグル・ジュニア
 クシペユ  J・H・ロニー兄
 群体  シオドア・L・トーマス
 The Men in the Walls  ウィリアム・テン
第2部。彼らはあちらで見つかった……
 その顔はあまたの扉、その口はあまたの灯  ロジャー・ゼラズニイ
 Student Body  F・L・ウォーレス
 黒い破壊者  A・E・ヴァン・ヴォート
 母  フィリップ・ホセ・ファーマー
 ロボット植民地  マレイ・ラインスター
第3部。彼らはどこでも見つかった……
 All the Way Back  マイクル・シャーラ

 第2部と第3部の作品は、地球外を舞台にしているので、コンセプトがちがう。残るは第1部だが、これもめぼしい作品は既訳ということで、今回は参考にならなかった。まあ、トーマスの作品を『影が行く』で使ったのだから、自業自得というべきか。

 ちなみにビッグル・ジュニアの作品は、不定形の怪物が出てくるSFミステリ。出だしは面白いのだが、後半腰砕け。
 テンの作品は230枚のノヴェラ。書きのばされて長篇 Of Men and Monsters (1968) になった。地球が巨大な異星人に占拠された時代、その建物内に隠れ住んでいる地球人の生き残りの話。未開人レヴェルまで退化した地球人の部族社会が描かれる。
 有名な作品なので期待して読んだが、いまとなっては訳すほどの価値はない。第一、肝心のモンスターがほとんど出てこないのだ。

 余談だが、「クシペユ」の作者ロニー兄は、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したベルギーの作家。本書には、一時フランス語SFの翻訳に熱中していたデーモン・ナイトによる翻訳がおさめられている(題名は“The Shapes” )。
 これは原始人がエイリアンと遭遇する話で、当方はけっこう気に入っている。邦訳は『十九世フランス幻想短篇集』(国書刊行会)にはいっているが、読んだはすくないだろうなあ。(2007年11月11日)



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