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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.12.14 Fri » 『ティンダロスの猟犬』

【承前】
 『千の脚を持つ男』関連の話をつづける。

 表題作に選んだフランク・ベルナップ・ロングの作品は、じつをいうと前にホラーSFアンソロジー『影が行く』を編んだときも候補にはいっていた。しかし、あのラインナップでは一枚落ちるし、既訳があるのもマイナスに働いて収録は見送ることにした。それなら未訳で同傾向の作品はないかと思って、ロングの短篇集 The Hounds of Tindalos (Belmomt, 1963) を読んでみた。

2007-10-19(Hounds)

 同書は1946年にアーカム・ハウスから出たロングの第一短篇集のペーパーバック版。元版が大部なので The Dark Beasts と二分冊になったうちの片割れである。といっても、親本を単純に割ったわけではなく、3篇を割愛したうえで配列を変えてある。ロング畢生の名作を表題作にしたこちらの片割れは、結果的に初期ロングのヴェリー・ベストになっている。

 さて、当方は『千の脚を持つ男』の扉裏解説でロングに「怪作王」の称号を奉りたい、と書いた。だが、むしろ「駄作王」、「愚作王」のほうがふさわしい――というのが、同書を読んだ感想である。
 とにかく凡庸な文章で、思いつきをストレートに書いたような作品ばかりなのだ。「ティンダロスの猟犬」や「千の脚を持つ男」は例外中の例外といっていい。

 参考までに同書の目次を当方の採点つきで書き写しておこう。題名のあとが点数で、5点満点である。

Dark Vision 1
The Black Druid 1
怪魔の森(別題 喰らうものども) 2
Grab Bags Are Dangerous 2
Fisherman's Luck 1
The Elemental 2
Golden Child 2
The Peeper 3
ティンダロスの猟犬(別題 ティンダロスの犬) 4

 ご覧のとおり、1点と2点のオンパレード。ちなみに、当方が1点をつけることは稀なので、よっぽどつまらかったらしい(内容はすでに忘却の彼方)。けっきょく前回はロングの作品を選べなかった。
 
 とはいえ、「怪物ホラー」をテーマにした今回は、最初から「千の脚を持つ男」の収録を決めていたし、既訳(追記参照)とは別ヴァージョンの原文テキストが手もとにあったので、それを底本に新訳を起こすことにした。この怪作をふたたび世に出せて、すごくうれしい。(2007年10月19日)

【追記】
 一字ちがいの「千の足を持つ男」堀内静子訳『ウィアード・テールズ2』(国書刊行会、1984)のこと。

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