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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.11.18 Sun » 『永劫の夜』

 ロバート・E・ハワードのデビュー作を読みたくて買ったのが、Eons of the Night (Baen, 1996) という短篇集。当時ベインが出していたロバート・E・ハワード選集の第5巻である。表紙絵はケン・ケリーだろう。

2007-7-25 (Eons)

 各編に短い解説が付されており、アチラの本には珍しい丁寧な作りで好感が持てる。ちなみに序文はS・M・スターリングが書いていて、表紙にでかでかと名前が載っている。

 収録作は10篇。そのうち邦訳があるのは「悪霊の館」、「恐怖の庭」、「灰色の神が通る」、「密林の人狼」の4篇である。

 ひとことでいって、マイナー作品集。珍しい作品が多いが、傑作はひとつもない。邦訳のある4篇の水準に達しているのは、ほかに“Marchers of Valhalla”くらいか。これは《ジェイムズ・アリスン》ものの幻の第1作。前世の記憶という形式を踏まえ、超古代の戦闘を描いた作品だ。
 
 さて、問題のデビュー作“Spear and Fang”だが、箸にも棒にもかからない駄作であった。
 クロマニヨン人の恋の鞘当てが主軸で、仇役にかどわかされそうになったヒロインが、たまたま近くにいたネアンデルタール人にさらわれる。仇役は彼女を見捨てて逃げるが、事件を知った主人公が、ネアンデルタール人と闘ってヒロインを奪還するという話。題名の「槍と牙」は、それぞれの武器を表している。

 生硬な文章、凡庸なプロット、類型的なキャラクターと見るべきところはひとつもない。もっとも、これを書いた当時、ハワードは18歳だったのだから仕方ない。この後、精進に精進を重ねて「黒河を越えて」のような傑作を生み出すようになったのだから、やはりハワードは偉大なのである。(2007年7月25日)



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